長崎市立山里小学校

長崎市立山里小学校

長崎市橋口町に位置する長崎市立山里小学校は、1874年（明治7年）に開校した中馬込小学校、山王小学校、1876年（明治9年）開校の中野小学校を前身とする、長い歴史を持つ公立小学校です。地元では「山小（やましょう）」の愛称で親しまれています。

学校概要

2024年（令和6年）に創立150周年を迎えたこの学校は、「やさしさと思いやりで、笑顔がいっぱい」を教育目標に掲げ、児童たちの健やかな成長を育んでいます。校章は、平和の象徴である鳩をモチーフにし、校名の「山」の形を表現したもので、永井隆の弟である永井元によってデザインされました。

校歌は、作詞を八波則吉、作曲を原格太郎が担当。歌詞には学校名は登場しませんが、浦上天主堂や岩屋山、浦上川など、学校周辺の風景が織り込まれています。

また、第2校歌として、永井隆作詞、木野普見雄作曲の「あの子」が歌い継がれています。この歌は、戦後作られ、「ああ　あの子が生きていたならば」というフレーズが各番の最後に繰り返され、平和への強い願いが込められています。

学校は、平野町、平和町、松山町（一部）、岡町、橋口町、上野町、扇町（一部）、本原町、大橋町、家野町、文教町（一部）、千歳町（一部）、若葉町（一部）、江里町（一部）、三芳町（一部）を校区としており、中学校は長崎市立山里中学校に進学します。

歴史

山里小学校の歴史は、1874年（明治7年）に中馬込小学校と山王小学校が開校したことに始まります。その後、1876年（明治9年）には中野小学校も設立されました。1882年（明治15年）にこれら3校が合併し、山里小学校と改称されました。

幾度かの校舎の移転や増築を経て、1932年（昭和7年）には鉄筋コンクリート3階建ての新校舎が完成しました。しかし、1945年（昭和20年）8月9日の長崎原爆により、校舎は甚大な被害を受けました。当時、多くの教職員や児童が犠牲となり、学校は一時的に閉鎖されましたが、戦後、復興に向けて再建されました。

原爆の被害と復興

山里小学校は、爆心地から約700mという至近距離に位置していたため、壊滅的な被害を受けました。校舎は爆風と火災で大きく損壊し、多数の教職員と児童が命を落としました。

被爆後の学校では、生き残った児童たちが集められ、焼け跡で授業が再開されました。その後、校舎は復旧され、現在に至っています。

平和への取り組み

山里小学校では、原爆の悲劇を二度と繰り返さないために、平和教育に力を入れています。校内には、「あの子らの碑」や防空壕跡などの被爆遺構が残されており、児童たちはこれらの遺構を通して、平和の大切さを学んでいます。

「あの子らの碑」は、原爆で亡くなった子どもたちを慰霊するために、永井隆とその子供たちが協力して建てたものです。碑には、燃え盛る炎の中で祈る少女のレリーフが刻まれており、平和への祈りが込められています。

また、校内にある原爆資料室では、被爆当時の資料や永井隆の活動を紹介しており、見学を通して平和への意識を高めることができます。

課外活動

山里小学校では、運動部としてサッカー部、ソフトボール部、ミニバスケットボール部が活動しており、文化部ではブラスバンド部が活発に活動しています。

アクセス

山里小学校へは、長崎バスの山里小学校前バス停または大橋バス停、県営バスのカトリックセンター前バス停、JR浦上駅、長崎電気軌道の大橋電停から徒歩でアクセスできます。

周辺施設

学校周辺には、平和公園、如己堂、長崎市永井隆記念館、長崎南山中学校・高等学校、長崎市立山里中学校、長崎大学、浦上天主堂などの施設があり、歴史や文化に触れることができます。

著名な出身者

山里小学校出身の著名人には、イラストレーター・画家の長岡秀星氏、元衆議院議員の中村重光氏、南山大学学長の鳥巣義文氏、東京大学大学院工学系研究科教授の峯松信明氏、プロゴルファーの櫻井心那氏、プロサッカー選手の鍬先祐弥氏などがいます。

まとめ

長崎市立山里小学校は、長い歴史と平和への強い願いを持つ学校です。原爆の被害を乗り越え、平和教育を推進するこの学校は、長崎の歴史と未来を担う子供たちを育んでいます。



参考文献
「校史八十年　1954」長崎市立山里小学校　昭和30年
「長崎市立山里小学校　創立百年誌」山里小学校創立百周年記念事業実行委員会　昭和49年
「市制百年　長崎年表」（1989年（平成元年）4月1日、長崎市役所）
長崎市平和・原爆 原爆の記録 山里国民学校 - 長崎市役所ウェブサイト
山里国民学校（山里小学校） - 長崎平和研究所ウェブサイト
長崎市立山里小学校（旧：山里国民学校） - ここは長崎ん町ウェブサイト

関連事項
長崎県小学校一覧

外部リンク
長崎市立山里小学校 公式ウェブサイト

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