浦上川

浦上川：長崎市街を潤す二級河川

浦上川は、長崎県長崎市と西彼杵郡長与町を流れる二級河川です。長崎市街地の北東に位置する前岳を源流とし、そこから南へと流れ、長崎港に注ぎます。この川は、長崎市街地の中央を流れる中島川とともに、都市の重要な河川として人々の生活を支えてきました。

流域の特徴

浦上川の流域は、すり鉢状の地形をしています。源流の前岳から、畦別当、犬継、川平といった山間部を流れ、徐々に南西方向へと進みます。大手町付近では、三川川や大井手川などの支流と合流し、川幅を広げます。さらに南へと流れを変え、大橋付近で城山川と合流し、最終的に長崎港へと流れ込みます。

川沿いには、狭い谷や沖積平野に沿って、集落、住宅地、商工業用地、公共施設などが整備されています。上流域には長崎県道45号線と長崎バイパスが走り、下流域には国道206号、国道202号、長崎本線、長崎電気軌道といった主要な交通網が並行しています。また、川には多くの橋が架かっており、特に下流の大橋、下大橋、竹岩橋、梁川橋、稲佐橋、旭大橋は、市街地の交通において重要な役割を果たしています。

歴史と環境

1945年8月9日、浦上地区に原子爆弾が投下されました。この時、多くの被爆者が浦上川に水を求めたという悲しい歴史も刻まれています。原爆落下中心地周辺は、現在では平和公園として整備され、平和への祈りが捧げられています。

都市部を流れる浦上川は、下流域の水質があまり良くありません。1982年7月23日には長崎大水害が発生し、中島川とともに氾濫し、甚大な被害をもたらしました。このため、現在ではほとんどの流域で護岸工事が施されています。支流の一部では、三面護岸や暗渠化が進められていますが、上流部には照葉樹林などの自然が多く残り、ゲンジボタルの生息地も点在しています。県や市、地域住民による自然保護活動も積極的に行われています。

支流

浦上川には、以下の3つの主要な支流があります。

三川川: 帆場岳の西側から北西に流れ、三川町を経て浦上川に合流します。
大井手川: 岩屋山の北側から南東に流れ、道の尾、女の都、浦上水源地を経由して浦上川に合流します。短い区間ですが、長与町域も流れます。
城山川: 稲佐山の北東側から東に流れ、大橋で浦上川に合流します。

まとめ

浦上川は、長崎市の歴史と深く結びついた重要な河川です。都市の発展とともに、様々な影響を受けてきましたが、今もなお、市民生活に欠かせない存在です。過去の教訓を生かしながら、自然環境との調和を目指した取り組みが、今後も重要となるでしょう。

参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会編『角川日本地名大辞典 42 長崎県』1987年 ISBN 9784040014203

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