長崎県立美術博物館

長崎県立美術博物館：その歴史と閉館

長崎県立美術博物館は、長崎県長崎市立山に位置し、1965年から2002年まで地域文化の中核を担った美術館と博物館の複合施設でした。長崎県立長崎図書館に隣接しており、長年にわたり多くの美術作品や歴史資料を展示、保管していました。しかし、老朽化や運営上の課題から2002年末に閉館。その後、跡地には長崎歴史文化博物館が建設され、新たな歴史文化施設として生まれ変わりました。一方、長崎県美術館は出島町に建設され、美術品の展示機能はそちらに移管されました。

建立から閉館まで

1965年10月31日、長崎国際文化センター建設事業の一環として、総工費1億8687万円をかけて完成。11月22日には開館記念として「明治・大正・昭和名作美術展」を開催するなど、華々しいスタートを切りました。開館後は、美術展の開催や資料収集、さらには実技講座やボランティア育成など、地域住民への文化活動支援にも積極的に取り組みました。

1970年には、須磨弥吉郎氏より美術コレクションが寄贈され、「須磨コレクション」として所蔵。その後も、常設展示館の増設（1980年）、ハイビジョン導入（1994年）、バリアフリー化（1997年）など、施設の充実・改善にも努めてきました。また、1998年には長崎県知事公舎が移管され、「諏訪の杜ギャラリー」として活用されるなど、施設の規模も拡大しました。

しかし、美術館と博物館の機能を併せ持つことによる運営上の課題や、集客率の低さなど、様々な問題を抱えていました。老朽化も進み、建物の維持管理にも多大な費用がかかるようになっていました。

これらの問題を背景に、2002年9月30日、常設展示館、講堂兼展示室、別館が閉館。同年12月31日、37年の歴史に幕を閉じました。閉館記念式典では、長年にわたる活動の成果と、新たな美術館・博物館への期待が語られました。閉館後、建物は解体され、跡地には長崎歴史文化博物館が建設されました。

閉館後の状況と現在

現在、旧長崎県立美術博物館の面影は、長崎県立長崎図書館の裏手にある立山防空壕のそばに設置された、2階外壁の一部のみとなっています。これは、当時の建物の痕跡として、歴史を語り継ぐ重要な存在です。

長崎県立美術博物館は、その存在期間中、長崎の文化発展に大きく貢献しました。その歴史は、現在、長崎歴史文化博物館や長崎県美術館といった新たな施設へと受け継がれ、未来へと続いています。

問題点と課題

長崎県立美術博物館は、美術館と博物館の両方の機能を一つの建物に収めていたことから、運営上の様々な課題を抱えていました。展示スペースの不足や、それぞれの機能のバランス、専門性の維持、更には広報活動の不足による集客率の低さなどが挙げられます。これらの課題は、閉館の大きな要因の一つとなりました。

来館者数

開館以来、数々の企画展や常設展を開催し、多くの来館者を集めました。主催展では1970年に13万3891名、貸館展では1999年に14万7753名という記録的な来場者数を記録しています。しかし、常設展の来場者数は比較的少なく、集客率の向上は長年の課題でした。

まとめ

長崎県立美術博物館は、37年間の歴史の中で、長崎の文化振興に大きく貢献しました。しかし、老朽化や運営上の課題、集客率の低さといった問題を抱え、閉館という決断に至りました。その歴史と教訓は、今後の文化施設の運営にとって貴重な示唆を与えてくれるでしょう。現在、跡地には長崎歴史文化博物館が、そして美術展示機能は長崎県美術館に引き継がれています。

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