長崎県立長崎北陽台高等学校

長崎県立長崎北陽台高等学校

長崎県立長崎北陽台高等学校は、長崎県西彼杵郡長与町に所在する公立高等学校です。地元では「北陽台」と略称され、地域に根差した学び舎として親しまれています。かつて、長崎市内の進学校と共に「長崎五校」と称され、総合選抜制度の下で重要な役割を担ってきました。

教育内容と学科の変遷

本校は全日制課程を設置しており、設置当初からの普通科を中心に教育活動を行っています。学問分野への深い探求を目指す理数科が2003年に設けられましたが、教育課程の改編に伴い、2025年3月に閉科される予定です。これに代わり、2023年からは普通科の一部と統合・再編される形で、文理両分野の探究活動を重視した文理探究科が新設されました。これにより、生徒一人ひとりの多様な興味関心や進路希望に応じた、より専門的かつ実践的な学びの機会を提供しています。

校訓と象徴

本校の教育理念は、「二綱」としての「自学・創造」、「三領」としての「やさしく・きびしく・たくましく」という校訓に集約されています。生徒たちが自ら学び、新しい価値を創造する力、そして他者への思いやりを持ちつつ、困難に立ち向かう強靭な精神と身体を養うことを目指しています。

校章は、スクールカラーである「青」を基調とし、中央に「高」の文字が配されています。全体のデザインは太陽の輝きを象徴し、四方の曲線は学校を取り囲む山々を表しています。また、この曲線は若者の持つ鋭敏さと柔軟性を示唆しており、内側の四つの鋭い光は、厳格ながらも生徒を育成する教育姿勢を表現しています。

校歌は山本健吉氏が作詞、團伊玖磨氏が作曲を手がけました。全3番から成り、学校周辺の自然である琴ノ尾岳や長与湾が歌詞に織り込まれていますが、校名は含まれていません。

さらに、俳優の森繁久弥氏が作詞・作曲した「惜別譜」も本校の重要な歌として歌い継がれています。これは森繁氏と当時のPTA副会長との親交から生まれ、1981年の総合落成式に講演者として来校した森繁氏が、卒業後も友と酒を酌み交わしながら歌える歌として寄贈されたものです。全4番のこの曲は、卒業生にとって特別な一曲となっています。

沿革

1979年4月1日に開校した本校は、長崎県における高校教育の歴史において、特に総合選抜制度の下で重要な役割を果たしました。開校に先立ち、長崎東、長崎西、長崎南、長崎北の各高校と共に総合選抜試験が実施され、「長崎五校」体制が確立されました。1981年には総合落成式が行われ、森繁久弥氏による記念講演会が実施されています。総合選抜制度は1995年に一部改変され、本校でも推薦入試や特定のコースでの直接選抜が導入されました。そして、2002年の入試をもって総合選抜制度は廃止され、翌2003年からは単独選抜による入試が開始されました。2015年からは修学旅行先が海外（シンガポール・マレーシア）となりましたが、一時的な国内実施を経て、2024年度からは再びシンガポールへの海外修学旅行が再開されています。

学校行事

年間を通して、生徒の成長を促す多様な行事が実施されています。4月の始業式・入学式に始まり、5月には合唱コンクール、6月には高校総体や生徒会選挙、定期試験が行われます。夏休み前の7月にはオープンスクールや校内競技大会があり、8月9日の長崎原爆の日には平和学習を実施します。2学期は体育大会、文化祭（凧あげ大会を含む）、芸術鑑賞会などが開催され、冬休み前には健脚くらべが行われます。3学期には大学入学共通テストや高校入試、卒業式が控えています。特に文理探究科では、研修旅行や大学との連携による探究活動が年間を通じて多彩に行われています。

多彩な部活動とその成果

本校には多くの運動部と文化部があり、生徒たちは学業と両立させながら活発に活動しています。運動部には陸上競技、卓球、硬式テニス、野球、剣道、登山、バレーボール、バスケットボール、ラグビー、バドミントン、弓道、ハンドボール、サッカー部が、文化部には生物、数理科学、英会話、吹奏楽、合唱、写真、放送、美術、文芸、家庭、茶道部が活動しています。

特に顕著な成果を上げている部活動が多数あります。

登山部

登山部は男女ともに全国屈指の強豪として知られ、長年にわたりインターハイで優れた成績を収めています。男子は1992年のインターハイで団体優勝を飾って以来、複数回にわたり優勝や入賞を重ねています。女子も2004年に初優勝を果たし、その後も優勝や準優勝を経験しています。近年では、男子が県高校総体19大会連続優勝、県新人戦18連覇、九州大会8大会連続優勝中（2024年10月現在）という記録を更新し続けており、女子も県高校総体6大会連続優勝、県新人戦9連覇、九州大会5大会連続優勝中と、その活躍は続いています。

主なインターハイ上位入賞歴は以下の通りです。

男子：優勝 8回（1992, 1995, 2003, 2007, 2010, 2014, 2017, 2019）、準優勝 2回（2005, 2015）、3位 4回（1999, 2006, 2013, 2022）
女子：優勝 3回（2004, 2022, 2024）、準優勝 5回（1986, 1995, 1996, 2003, 2019）、3位 3回（2001, 2002, 2006）

ラグビー部

ラグビー部は九州地方における高校ラグビーの強豪として名を馳せています。1989年に全国高等学校ラグビーフットボール大会（花園）に初出場して以来、多くの出場経験を持ちます。1994年には初めて決勝に進出し、準優勝という快挙を達成しました。その後も連続出場やベスト8進出を重ね、2007年にはベスト4に進出するなど、全国の舞台で輝かしい成績を残しています。

野球部

野球部は1994年の夏の第76回全国高等学校野球選手権大会に長崎県代表として初めて出場し、ベスト8に進出しました。この時の快進撃は、本校のスクールカラーにちなんで「青い旋風」と称され、以降、本校の活躍を表現するフレーズとして定着しています。

生物部

学校が自然豊かな環境に隣接している立地を活かし、生物部はフィールドワークを中心とした研究活動に力を入れています。長崎大学との連携もあり、学外での調査研究も積極的に行っています。1982年から継続的に論文投稿やポスター発表を行っており、日本学生科学賞や全国高等学校総合文化祭などで数々の賞を受賞するなど、その研究レベルは全国的にも高く評価されています。

主な受賞歴（日本学生科学賞、全国高等学校総合文化祭など）は多岐にわたります。

その他の特色

制服は男子は学生服（学ラン）、女子はブレザーを着用していますが、2025年度入学生からは新しいデザインに変更される予定です。

同窓会組織は活発に活動しており、県内外に複数の支部（関東、関西、広島、福岡、佐世保など）を持ち、卒業生間の交流を深めています。

著名な出身者も多数輩出しており、特にラグビー界では多くのプロ選手やレフリーを輩出しています。その他、陸上競技選手やNHKアナウンサー、美術家、劇作家、ローカルタレントなど、様々な分野で活躍する卒業生がいます。

また、本校のユニークなエピソードとして、Gackt氏の楽曲「野に咲く花のように」のテレビ放映用映像に本校提供の写真が使用された縁から、2006年度の卒業式にGackt氏本人が来校し、卒業生に向けてこの歌を披露した出来事があります。

通学手段としては、JR高田駅から徒歩約7分に加え、長崎バスによるスクールバスが運行されており、周辺地域からのアクセスが容易です。敷地内にバス停も設けられています。

長崎北陽台高等学校は、設立以来、長崎県の中核校として多様な教育活動を展開し、学業、部活動、特別活動の全てにおいて生徒の可能性を引き出す教育を実践しています。その歴史と伝統は、地域社会との繋がりや卒業生の活躍によって今も息づいています。

アクセス

JR九州：高田駅より徒歩約7分
長崎バス：「北陽台高下」バス停より徒歩約5分、または「北陽台高校前」バス停（敷地内）下車

周辺には高田川が流れ、自然豊かな環境に恵まれています。

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