長崎電気軌道1200形電車

長崎電気軌道1200形電車

長崎電気軌道1200形電車は、1982年に誕生した長崎電気軌道の路面電車であり、ツーマン車の置き換えを目的に開発されました。老朽化が進んでいた150形、800形を代替する新たな車両として、登場時から注目を集めてきました。今回は、この1200形の詳細な特徴や運用状況についてご紹介します。

概要

長崎電気軌道では、1980年に計画された軽快電車型の車両2000形の増備計画が白紙となり、老朽車両の置き換えのために、軽快電車の車体を新造することに決定しました。その結果、生まれたのが1200形であり、製造費用の削減や部品統一の観点から、中古や予備の部品を使用して製造されました。1982年8月には、5両が長崎電軌浦上車庫に搬入され、1201から1205の番号で運用が開始されました。

この形式の車両設計は、基本的には2000形を基にしており、特徴としては大きな前面窓と、側面に設けられた袖窓が挙げられます。運転席の通気性に問題があったため、後に袖窓が開閉式に改造されました。また、車内の配置も踏まえ、全体のデザインに工夫がなされています。

車体

1200形の車体構造は、先代の2000形を踏襲しつつも、大きな一枚窓が特徴的です。側面の窓はアルミサッシ製の2段窓で、上段は固定となっています。中扉は片開きの2枚折り戸に変更され、乗降口のステップも低く設計されています。この工夫により、車両の出入りが容易になっており、乗客の流動性が高まっています。

客室内については、長崎電気軌道が利用者のニーズを考慮し、ロングシートに統一されています。これにより、乗客の流れを考えた設計が実現されました。冷房装置には、三菱電機製のもので、良好な試験結果がもとに選定されています。

主要機器

1200形では、導入コストを抑えるために、従来の中古品や予備品が積極的に利用されています。台車や主電動機、制御器など多くの主要機器が既存のものと共通化されており、この点で効率的な運用が行われています。特に制御器にはKR-8型が搭載され、制動装置も直通式のSM-3が用意されています。

リニューアル工事と間接制御化（1200A形）

2003年に行われたリニューアル工事では、1200形の4両（1202 - 1205）の性能向上が図られ、形式も1200A形に改められました。ここでは、台車や主電動機が新たに交換され、より良い走行性能が実現されました。また、制御装置も間接制御に変更されており、保守性や乗り心地が向上しています。

運用と現状

1982年の試運転を経て、営業運転に投入された1200形は、特に夏季の繁忙期にて冷房装置を兼ね備えているため、高い評価を得て運行されています。これにより、ツーマン・非冷房の古い車両が5両廃車となる一因となりました。現在、1200形は長崎電気軌道の重要な戦力として活躍しており、2018年の時点で1201と1200A形の4両（1202～1205）が在籍しています。

長崎電気軌道1200形は、その歴史的背景とともに、地元住民に愛され続ける存在となっています。

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