長崎電気軌道1300形電車

長崎電気軌道1300形電車

長崎電気軌道1300形電車は、1987年に長崎の街を走り始めた路面電車であり、1989年までに5両が製造されました。この車両は、老朽化が進んだ非冷房車両の置き換えを目的として設計され、運行開始から長年にわたり地域の交通を支えてきました。

製造背景

1300形の製造は、1987年から1989年にかけて進められました。新型車両の製造に際しては、コストダウンを図るために予備品や中古品の利用が促進され、新造の車体はアルナ工機によって製造されました。この結果、1300形はコストを抑えつつも性能を維持することができました。

特に目を引くのは、基本構造が1982年に導入された1200形に準じている点ですが、1300形では運転席両側の小窓が開閉可能になりました。また、サッシに金色の塗装が施されるなど、外観にも工夫が凝らされています。さらに、車体番号の表示位置が大型化され、より見やすくなりました。方向幕にもローマ字が取り入れられ、視認性が向上しています。

内装と設計の工夫

内装においても改良が見られ、吊り手が中扉周辺に増設されるなど、乗客の利便性が優先されました。座席のモケットには色分けが施され、乗客が着席しやすい配慮がなされています。これにより、客室内は利用者にとって快適な空間となっています。

台車には1985年に廃車となった西鉄北九州線の300形から取り外したパーツが使用されています。特にコイルばねは、日立製のKL-11型が採用されており、耐久性と安定性が考慮されています。

運行状況

1300形は、1987年9月に最初の2両（1301と1302）が営業運転を開始し、その後1988年に続いて3両（1303と1304）、1989年6月には最後の1両（1305）が導入されました。これにより、非冷房の600形や1050形が廃車となり、全車両が現役での運行に投入されました。約30年が経過した現在も、1300形は長崎電気軌道に在籍しており、観光地としても訪れる人々に親しまれています。2018年4月の時点では、5両すべてがカラー電車Bタイプとして広告の対象となっており、新たな形で地域に貢献しています。

まとめ

長崎電気軌道1300形電車は、地域交通の重要な一翼を担いながら、歴史とともに進化し続けています。その製造背景や技術的な工夫は、単なる公共交通機関に留まらず、地域の文化や歴史と密接に結びついています。このような特徴を持つ1300形電車は、今後も長崎の街を彩り続けていくことでしょう。

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