長崎電気軌道150形電車

長崎電気軌道150形電車

長崎電気軌道150形電車は、1956年に箱根登山鉄道から譲受した路面電車で、長崎の交通機関として長い間親しまれてきました。これは、小田原市内線が廃止された際に余剰となったモハ20形を基にしており、その歴史をたどることで、日本の路面電車の進化と地域交通の変遷が見えてきます。ここでは、長崎電気軌道150形電車とその前身となる箱根登山鉄道モハ20形電車の詳細を紹介します。

箱根登山鉄道モハ20形電車の歴史

1952年、箱根登山鉄道は東京都交通局から100形電車を受け入れ、形式と番号を改めてモハ20形として再構成しました。譲受したモハ201とモハ202は、元々1925年に製造された王子電気軌道の400形であり、歴史ある電車の一部です。その後、これらは東京都電から改造を受け、さらなる改良が施されることとなります。

モハ201・202の車体は、前面に5枚窓を配し、11.8メートルの長さを誇りました。特徴的な低床設計に改造され、車体の色は青と山吹色のツートンカラーに塗り替えられ、当時の最新技術が活かされています。さらに、モハ203から205の3両も、型式名をモハ20形に改められ、同じく小田原市内線で運用されました。

長崎電気軌道への譲渡と改造

1957年2月、小田原市内線が廃止された際、モハ20形電車は長崎電気軌道に譲渡され、150形として新たな運命を歩み始めました。譲渡前に、モハ201・202は前後から切断され、203から205は中央部を改造されて各車両が2扉化されました。この改造により、車両の長さは11メートルに短縮され、外観も鋼板製の新しいボディに変更されました。

さらに、集電装置をビューゲルに変更したことにより、各車両は一様な外観を持つようになり、元の姿はほとんど見受けられなくなりました。番号も201から205から151から155に付け替えられ、長崎電気軌道の一員として生まれ変わりました。

運用とその後

長崎電気軌道に入線した150形電車は、1957年7月からの運用開始以来、1961年の360形導入後はラッシュ時メインの運用となります。1969年8月には、警笛をホイッスルからタイフォンに交換し、1972年には台車や床面の改良がなされました。また、アルミサッシ窓への交換や集電装置の改造も行われ、より現代的な仕様に生まれ変わりました。

150形は主にラッシュ時に使用され、業務がワンマン化されていく中で、特定の系統で活躍しました。1980年代に入ると新型車両の導入や老朽化が進み、廃車が進行します。その中で151号は動態保存車として残ることとなり、1988年には昔の塗装が復元されました。

しかし、維持管理の困難さから2019年に運行を終了し、翌年2月には保存のための譲渡が発表されました。小田原市内での保存プロジェクトも立ち上がり、クラウドファンディングで資金を集め、最終的には実現に至りました。

終わりに

長崎電気軌道150形電車の歴史は、ただ一つの機体が地域交通に果たした役割だけでなく、日本の鉄道および路面電車の展開の一環として見ることができます。150形の歴史と変遷を知ることで、長崎の交通の今をより深く理解することができるのです。

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