長崎電気軌道600形電車

長崎電気軌道600形電車

長崎電気軌道600形電車は、同社が運行する路面電車の一部であり、元々は熊本市交通局で使用されていました。このモデルは1953年に製造された170形の系譜を持ち、1970年に長崎に移籍しました。長崎においては601号と602号として運行されており、特に601号はイベント用の動態保存車両として熊本市電の塗装を復元されています。

車両の歴史と移籍

600形のルーツは熊本市交通局の170形で、2両が製造されました。これらは1968年まで使用されていましたが、余剰化から1970年に長崎電気軌道に譲渡され、600形として再登場しました。この際、伝統的な小型ボギー車としての特徴からワンマン運転に対応した仕様に改装されました。

1849年に設計された120形から数えて5番目となるボギー車で、長崎では自社発注の車両と同じサイズ感があったため、長崎電気軌道は木造車の置き換えとワンマン運転の拡大を目指して600形を導入したのです。

車両の特徴

600形は、11メートルの半鋼製車体を持ち、側面には二段窓が特徴的です。前面にある大型窓と中央部の窓の形状は、移籍後の601号で若干改良され、視認性が向上しました。ドアは左右に配置された折り戸で、運行では後扉が乗車口、前扉が降車口として使われます。また、座席はロングシートで定員は70名となっています。

主要機器

この電車は、住友金属製のKS-40J形台車を採用し、特に低床設計が特徴です。主電動機には出力38キロワットのSS-50形を搭載し、駆動方式は吊り掛け式となっています。制御器は、長崎では三菱製のKR-8形が使用されており、直並列の制御方式が採用されています。

熊本市交通局時代の運用

熊本市電においては、仕様変更を加えられながらも初期の独自な塗装が施され、運用されてきました。しかし、1966年からのワンマン運転に適用されなかったため、1968年には運用から外れる事態となりました。その後、両車は1970年に長崎に移籍し新たな役目を担うこととなります。

長崎での運営

602号は1987年に廃車されましたが、601号はその後も運用されています。特に1980年代に冷房化の対象から外れたことで、徐々に稼働は減少しながらも、イベントの際には「がんばれ!!熊本号」として他の運行に組み込まれるなど、地域に密着した活動が続いています。

601号は、華やかな外観を持ちつつ地域社会への貢献も行っており、熊本市電時代の復刻塗装は多くの人々に親しまれています。また、長崎電気軌道の歴史を物語る貴重な存在として博物館やイベントにも使われ、現在もその役目を果たしています。

まとめ

長崎電気軌道600形電車は、単なる移籍車両ではなく、地域の交通の一翼を担ってきた貴重な歴史の証でもあります。長崎の路面電車としての姿勢や、地域貢献に関し、今後も多くの人に愛され続けることでしょう。

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