長州にて候

長州にて候

「長州にて候」（ちょうしゅうにてそうろう）は、日本の歌手、橋幸夫が2015年（平成27年）2月25日にビクターエンタテインメントからリリースしたシングル作品です。通算179枚目にあたるこのシングルは、CD（規格品番：VICL-37017）およびカセットテープ（規格品番：VISL-37017）の2形態で発売されました。

楽曲の背景とテーマ

本作は、橋幸夫の芸能生活55周年を記念して制作された楽曲です。テーマとして選ばれたのは、幕末期に活躍した長州藩の志士、高杉晋作。橋自身は、この楽曲を通じて、現代の日本が抱える様々な問題を見つめ直し、再考するきっかけになってほしいという願いを込めています。かつて「国を思う」という言葉が重んじられた時代に、自らの命をも顧みず国を変えようとした人々がいたこと、そしてその中でも特に異彩を放つ存在であった高杉晋作を歌にすることで、現代社会へのメッセージを伝えたいという思いが込められています。

制作陣

作詞は荒木とよひさ氏が担当しました。荒木氏は、ビクター復帰後の橋の作品に詩を提供しており、『面影渡り鳥』や『花火音頭』などの楽曲を手がけています。本作での共作は、前作から9年ぶりとなりました。荒木氏はその後、2020年発売の橋のデビュー60周年記念シングル『恋せよカトリーヌ』のカップリング曲「この世のおまけ」の作詞も手がけています。

橋幸夫は、これまでにも歴史上の実在人物をテーマにした楽曲を複数発表しており、初期には『南海の美少年』（天草四郎）、中期には『京ごよみ』（沖田総司）、そして後期には『以蔵残月』（岡田以蔵）などがあります。特に『以蔵残月』は、本作と同じく荒木とよひさ氏が作詞を担当しています。

作曲は橋幸夫自身が行っていますが、「勅使原煌（てしがわら こう）」というペンネームを使用しています。橋は、歌手としての立場とは異なる作曲家としての視点を持つ際に、ペンネームを用いることが多くあります。初期には主演映画の主人公名である「風間史郎」を好んで使用していましたが、この頃は自身の名前である橋幸夫名義か、この勅使原煌名義での発表が主でした。

編曲は、著名な作曲家である船村徹氏の長男であり、自身も作曲家・編曲家として活躍する蔦将包（つた まさかね）氏が手がけました。橋と蔦氏の共演は、この作品が初めてのことでした。

カップリング曲

シングルのカップリングには、『松』という楽曲が収録されています。この曲は、静岡県三保松原に伝わる日本の古典的な物語、羽衣伝説をテーマとしています。作詞は椎名透明氏が、作曲および編曲は矢田部正氏が担当しています。

収録状況

シングル『長州にて候』に収録されている両楽曲は、このシングル単体としてはオリジナルのスタジオ・アルバムには収録されていません。

しかし、2015年10月28日に発売された芸能生活55周年記念CD-BOX『橋幸夫ベスト100+カラオケ15』（規格品番：VFD-10300/5）のDisc1に、『長州にて候』が収録されています。

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