長弘毅

長弘毅（なが こうき）は、1934年に福井県で生まれ、2014年12月26日に亡くなったインド文学の研究者です。立正大学文学部史学科を卒業後、1958年から1963年までインドに留学し、現地の文化や言語を深く学びました。帰国後は、アジア・アフリカ語学院の専任講師を経て、富山国際大学に移籍し、2004年まで人文学部教授として教鞭を執りました。

長弘毅の研究分野は、南アジア地域研究、特にヒンディー語学、ヒンディー文学、そして口承文芸に重点が置かれていました。彼は、インド各地の農村を訪ね歩き、人々の間で語り継がれる民話を収集するという、フィールドワークを重視した研究スタイルを確立しました。これらの民話は、インドの文化や社会を理解するための貴重な資料となり、その研究成果は、著書や翻訳を通して広く発表されました。

長弘毅は、日印サルボダヤ交友会の会長を務めるなど、日本とインドの文化交流にも積極的に貢献しました。また、朝日カルチャーセンターの講師としても活動し、一般の人々にもインド文化の魅力を伝えていました。彼の情熱的な活動は、多くの人々に影響を与え、インド文学研究の発展に大きく貢献しました。

主な著書としては、インドの民話を収集し、紹介した『語り継ぐ人びと インドの民話』(福音館書店、2003年)があります。この本は、長弘毅が長年かけて収集した民話を、子供から大人まで楽しめるようにまとめられており、彼の研究活動の集大成とも言えるでしょう。その他に、『インド入門』(三省堂、1989年)や『東アジアの神話』(ポプラ社、2000年)などの共著、共編も手掛けています。

また、翻訳家としても活躍し、『現代ヒンディー短編選集』(大同生命国際文化基金、1984年)を監訳するなど、ヒンディー文学の普及にも貢献しました。さらに、映画『熱い灰 インド1983』(1999年)では、台詞監修を担当し、インド文化を多角的に紹介する活動を行いました。

長弘毅の研究は、単に学術的な価値だけでなく、インドの文化や社会を深く理解するための貴重な資料を提供しています。彼の業績は、今後も多くの研究者や学生にとって、重要な指標となるでしょう。

参考文献：
『現代ヒンディー短編選集』訳者略歴

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