長忠大聖堂

長忠大聖堂について

長忠大聖堂は、朝鮮民主主義人民共和国の平壌市船橋区域長忠洞にあるローマ・カトリック教会の大聖堂であり、平壌に存在する数少ないキリスト教の教会の一つです。この教会は朝鮮カトリック教協会によって管理されていますが、ローマ教皇庁とは公式なつながりを持っていません。

歴史的背景

南北分断前、平壌は「朝鮮のエルサレム」と称されるほど信者が多いキリスト教徒の中心地でした。1945年までには、平壌の市民のおよそ6人に1人がキリスト教徒であり、この地域は独立した教区を形成していました。しかし、分断以降、金日成が権力を握ると、キリスト教徒は左派のスパイや帝国主義者として迫害され、多くが投獄されるか、殺されました。また、独立運動家であった曺晩植も逮捕され、命を落としています。

19世紀後半に建設された初期の大聖堂は、朝鮮戦争中にアメリカ軍の攻撃により壊滅的なダメージを受けました。その後、1949年には平壌最後の公式司教であったフランシスコ洪龍浩が共産主義政府に捕らえられ、行方不明となりました。2013年、ローマ教皇庁は彼の死亡を公式に認めたものの、その正確な死亡日は不明のままです。

1988年に新しい長忠大聖堂が平壌の東側に設立され、同時に政府による信教の自由の象徴として、特定の教派に属さないプロテスタント教会も2つ開かれました。

聖堂の運営

長忠大聖堂は朝鮮カトリック教協会が管理していますが、司祭や司教は常駐していません。北朝鮮政府とローマ教皇庁間の緊張により、ミサは外国から派遣された聖職者によって執り行われています。このような制約の中でも、聖堂は地域のカトリックコミュニティを形成し続けています。

長忠大聖堂には、製麺所が併設されており、カトリックソウル大司教区やアメリカに在住する韓国のカトリック信者たちからの支援を受けて運営されています。この支援が、教会の活動を支える重要な要素です。

まとめ

長忠大聖堂は単なる宗教施設ではなく、北朝鮮における信教の自由やキリスト教徒が直面する歴史的な試練の象徴としても位置づけられています。今後もこの教会は、厳しい環境の中で信徒の拠り所として機能し続けるでしょう。

もう一度検索