長春包囲戦

長春包囲戦

長春包囲戦（ちょうしゅんほういせん）は、1948年5月23日から10月19日までの150日間にわたり、中国人民解放軍が中華民国国軍が守る長春を包囲した戦闘です。この戦いは遼瀋戦役の一部となり、同戦役の中でも最も長い戦闘です。

背景

日中戦争の終結後、中国国民党と中国共産党の間で国共内戦が再燃しました。満州地域が両者の争奪戦の中心となり、特に長春は吉林省の省都であり、かつての日満州国の首都であったため、戦略的に重要な地位を占めていました。長春は日本軍の占領下で「理想的な近代都市」として成長した背景もあり、戦争の行方に重大な影響を及ぼす地域でした。

1945年のソビエト連邦の侵攻によって満州は占領され、これを契機に両党は勢力を拡大するための動きを加速させました。国民党は東北で初期の作戦で成功を収め、1946年5月には長春を再び掌握しましたが、蔣介石が中国共産党との停戦を発表したことで、政権の勢いは止まりました。これを境に中国共産党は東北での攻勢を強め、特に1948年3月には国民党軍を瀋陽、長春、錦州に孤立させることに成功しました。

計画

1947年、林彪は国民党軍に対する総攻撃の計画を策定し、長春、瀋陽、錦州の三つの都市の中から長春を攻撃の最初のターゲットとして選びました。この決定は、長春にある都市防衛網の整備状況を考慮したものであり、攻撃は慎重に進められることになりました。

経過

1948年5月23日、林彪指揮の下、東北野戦軍が長春の包囲を開始しました。最初は国民党軍は第60軍と新第7軍の二つの軍で構成されていましたが、士気は低下していました。包囲の結果、長春は他の国民党支配地域と隔離され、物資の供給も困難になりました。

国民党政府は空からの物資供給を試みましたが、共産軍の対空兵力の増強により、その成功は限られていました。封鎖は150日間続き、多くの民間人が命を落としました。都市内の食糧不足が深刻化すると、国民党軍の内部で非難合戦が起こり、それを利用して共産軍は国民党軍兵士の離反を促進しました。

10月14日の錦州の戦いで共産軍が勝利した後、包囲は急速に厳しくなり、最終的に第60軍が共産軍に寝返る事態にまで至りました。10月20日には新第7軍が降伏しました。

影響

長春陥落は国民党にとって大きな打撃であり、国民党の東北保持が不可能になったことを示しました。同年内に瀋陽や他の地域も共産軍に攻略されることになり、共産軍の戦略が成功を収めた証拠となりました。

市民実人数の死者は約15万から20万人と推定され、共産軍は民間人を都市に留め置くことで、食糧供給をさらに絞り込みました。これにより、多くの人々が飢えによる苦しみを経験することになりました。

この事実は、韓国の遠藤誉や中国の杜斌といった作家たちによる記録にも表れています。特に、杜斌の著作などでは長春包囲戦の悲劇的な側面が詳細に描かれ、今なお語り継がれています。また、長春包囲戦に関する文献や資料も多く存在し、その影響力は現在まで続いています。

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