長柄駅 (大阪府)

長柄駅：関西初の高架駅、そしてその短い歴史

長柄駅は、現在の阪急千里線（かつての新京阪鉄道線）上に存在した、今では見ることのできない廃駅です。大阪市北区に位置し、その歴史は短く、わずか20年足らずで姿を消しました。しかし、この駅は、関西鉄道史において重要な位置を占めています。なぜなら、長柄駅は、関西で初めて高架上に建設された駅の1つだったからです。

開業から廃止まで：激動の時代を駆け抜けた駅

1925年（大正14年）、新京阪鉄道が十三駅と千里山駅を結ぶ路線に加え、淡路駅と天神橋駅（現在の天神橋筋六丁目駅）間を開通させました。この際に、柴島駅とともに開業したのが長柄駅です。新淀川橋梁のすぐ南側に建設されたこの駅は、天神橋駅とともに、当時としては画期的な高架駅でした。千里線が大阪市営地下鉄堺筋線と直通運転を開始する1969年までは、新淀川橋梁から天神橋駅間が関西初の高架路線であり、長柄駅はその重要な一部を担っていました。

しかし、長柄駅の寿命は長くありませんでした。太平洋戦争の激化により、1944年（昭和19年）、不要不急の駅として廃止されてしまいます。天神橋駅に近いという理由も廃止の要因の一つだったと考えられます。その後、プラットホームは空襲によって焼失し、完全にその姿を消しました。

駅の構造と周辺環境

長柄駅は、相対式ホーム2面2線を有する高架駅でした。駅周辺には、大阪市電長柄橋電停、長柄橋、大阪天神橋八郵便局などがあり、当時の地域社会に密着した存在だったことが想像できます。

短い歴史に刻まれた意義

わずか20年という短い期間しか存在しませんでしたが、長柄駅は、関西における鉄道技術の発展、特に高架駅建設の先駆けとして、重要な役割を果たしました。その歴史は、今では写真や記録に残るのみですが、関西の鉄道史を語る上で、決して無視することのできない存在です。 長柄駅の存在は、近代化が進む中で、都市開発と鉄道網の整備がどのように進められたのか、そして戦争が人々の生活や社会基盤にどのような影響を与えたのかを理解する上で、重要な手がかりとなります。

年表

1925年（大正14年）10月15日：新京阪鉄道天神橋（後の天神橋筋六丁目駅） - 淡路間の開業と同時に開設。
1930年（昭和5年）9月15日：新京阪鉄道が京阪電気鉄道に統合。
1943年（昭和18年）10月1日：京阪電気鉄道が阪神急行電鉄と合併し、京阪神急行電鉄となる。
1944年（昭和19年）2月1日：廃駅。

隣の駅

参考文献

（具体的な参考文献名などをここに追記する）

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