長歌

長歌とは

長歌（ちょうか）は、日本の古典和歌の一つであり、その独特な形式によって特徴づけられています。この詩の形は、五・七音から成る句を三回以上繰り返し、最後に七音を加えるというものです。このように、長歌は長い構成を持つため、作者が詠む内容に深みと緊張感を与えることができます。特に『万葉集』で多く見られ、平安時代にはほとんど短歌に取って代わられるまで、その魅力を保ちながら多くの作品が生み出されました。

歴史的背景

長歌の起源は古代の歌謡にさかのぼり、『日[[本書紀]]』や『古事記』の中にはその姿が見受けられます。初期の長歌は、特に音数についての厳密なルールがなかったため、時には字余りや字足らずが見られることもありました。しかし、次第に五・七音の句を繰り返し、最後に七音を加えるという形式が確立しました。

『万葉集』の時代に入ると、長歌にはしばしば反歌と呼ばれる短歌が付け加えられるようになりました。この反歌は長歌を要約する役割を果たし、読者に対して印象的なメッセージを伝える手段として機能しました。平安時代に編集された『古今和歌集』がつくられる頃になると、和歌は短歌に重点が置かれるようになり、長歌は徐々に衰退し始めました。この時期の長歌には、創作の試行錯誤が見られました。

二十一代の和歌集に見られる長歌は、それぞれの時代背景を反映しながらも、その数は限られていました。たとえば、『古今和歌集』には5首の長歌があり、他の和歌集にも同様に少数が見られますが、文学的な価値については疑問視されることもありました。このことから、「長歌」として扱われるのは『拾遺和歌集』のみで、他の和歌集では「短歌」として分類されていました。

江戸時代から現代まで

江戸時代に入ると、国学の流れに伴い『万葉集』の研究が活発になりました。この研究の影響から、長歌も再び詠まれるようになりましたが、それ自体は従前の形式を模倣する擬古的なものが主でした。この時期に見られる著者としては賀茂真淵などがいます。

明治時代に入ると、長歌は再び下火になりましたが、1888年には佐々木弘綱が『筆の花』において「長歌改良論」を発表し、長歌に対する再評価が促されました。この論争は多くの著名な文学者を巻き込み、一時的に長歌が注目を浴びる場面もありました。

特に窪田空穂は例外的によく長歌を作り、その作品の中には、彼の次男を悼んで詠まれた史上最長の長歌「捕虜の死」があります。この作品は、長歌が持つ感情的な深みや、歴史的なな背景を如実に表しており、高い評価を受けています。

まとめ

長歌は、日本の古典文学において独特な地位を占める形式であり、その歴史や特徴を掘り下げることで、我々の文化に対する理解が深まります。長歌は、詩的表現を通じて人々の感情や思想を伝える重要な役割を果たしてきました。これからもこの伝統がどのように受け継がれていくのか、注目されるところです。

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