窪田空穂

窪田空穂（くぼた うつぼ）

概要

窪田空穂（1877年6月8日 - 1967年4月12日）は、日本の著名な歌人かつ国文学者で、日本芸術院の会員でもありました。生涯にわたり日本の歌や文学に貢献し、国民文学の創刊など多くの業績を残しています。彼の本名は窪田通治で、息子には同じく歌人である窪田章一郎がいます。

経歴

長野県東筑摩郡和田村に生まれた空穂は、初めは長野県尋常中学校（現在の松本深志高等学校）から東京専門学校文学科へ進学しますが、途中で中退します。その後、代用教員として働きながら作歌に興味を持つようになりました。彼は太田水穂との交流を通じて和歌同好会「この花会」を設立し、1899年には東京新詩社に参加しました。2000年には与謝野鉄幹に誘われ「明星」にも関わりますが、自身の理念にそぐわない部分から退会しました。

空穂はその後、東京専門学校に再入学し、1904年に卒業。1914年には「國民文學」を創刊し、1920年からは早稲田大学で教鞭をとりました。1942年には日本文学報国会の理事に就任し、1943年には日本芸術院の会員となりました。彼はまた、1957年の宮中歌会始では召人として選ばれ、1958年に文化功労者として表彰されました。1967年に亡くなるまで、日本の文学界において重要な役割を果たしました。

歌歴と評価

窪田空穂は、ロマン主義から自然主義文学の影響を受け、特に日常生活の些細な事柄を詠む「境涯詠」に特化しました。近代の歌人の中では長歌を多く手がけた点も特徴的であり、小説家を志していたことも影響して、ストーリーテリングに秀でた作品を生み出しました。一例として、都市の風景をユーモラスに描いた「円タクの助手」が挙げられます。

戦後には、シベリア抑留で亡くなった次男を悼んだ「捕虜の死」という長歌を詠み、その内容は非常に深く、多くの人々に感動を与えました。

登山とその影響

1913年、空穂は念願だった日本アルプスへの登山に自ら挑戦しました。槍ヶ岳を目指しましたが、悪天候により断念。一度は挫折を味わった彼ですが、1922年に改めて槍ヶ岳に登頂することに成功しました。この経験は彼の詩的活動にも影響を与え、多くの文学作品に彩りを加えました。

主な著書

空穂は数多くの歌集や評論、評釈を著し、重要な作品には『まひる野』、歌集『土を眺めて』、さらに古典文学への評釈書等があります。また、彼の研究は後世においても高く評価されています。

結論

窪田空穂は、近代日本における歌人としての影響力を持つ人物であり、その作品は今も多くの人々に親しまれています。歌の中で彼が追求した内面の表現や日常の美は、読者に深い感動を与え続けているのです。

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