長沙大火

長沙大火について

長沙大火（ちょうさたいか）は、1938年11月13日の午前2時に発生した大規模な火災であり、日中戦争の歴史的背景の中で非常に重要な事件とされています。この火災は、中国の湖南省に位置する長沙市で発生し、当時の中国国民党軍による放火が原因とされています。中国語ではこの事件を文夕大火（ぶんせきたいか）と称することもあります。長沙は人口約50万人の都市であり、この大火によって市街地の大部分が焼失してしまいました。

事件の背景

長沙大火の発生には、焦土作戦が関連しています。この作戦は敵軍に対して何も残さないことを目的としており、国民党軍が長沙の破壊を目指して準備を進めていたことが背景にあります。事件当時、中国共産党の指導者である周恩来が長沙に滞在しており、彼の動向を巡る憶測も事件の構造に影響を与えました。特に、周恩来を暗殺することが目的だったという見解も存在します。

国民党の指導者である蔣介石は、戦略拠点である岳州が日本軍によって迅速に攻略されたことを受けて、焦土作戦を迅速に指示しました。その後、張治中がこの作戦を実行することになりましたが、彼の功名心が火災を引き起こす一因と考える意見もあります。

長沙市内では、日本軍が迫っているという噂が広がり、市民たちは混乱状態に陥り、地方軍警もその情報に惑わされました。この混乱が大火の引き金となったとされています。

事件の経過

事件が発生する前日の11月12日、長沙飛行場の破壊作業が始まりました。そして、強風により火災が瞬く間に広がり、長沙市全体にまで到達したと報告されています。郭沫若は、放火を行う兵士が張治中の命令に従って行動していることを確認しています。この混乱の中、地方政府の役人たちは逃げ出し、住民たちの不安は募るばかりでした。避難する外国人を保護するために、英国の揚子江艦隊の砲艦サンドパイパーが周囲に留まっていました。

事件の影響

火災は3日間にわたり続き、長沙という長い歴史を誇る都市は廃墟と化し、多くの文化遺産を失いました。焼失した市民の数は、推定されるところによると2万人から3万人に上るとされています。周恩来は一時期焼死したと考えられていましたが、実際には就寝中に火災から逃れたことが後に判明しました。

この事件を受け、中華民国中央政府は100万元の救済費を支出し、治安維持のために軍警を派遣しました。また、政治工作員による善後処理が実施されましたが、事件に関与した地方役人3名は処刑される一方で、張治中への処分は比較的軽いものでした。

脚注

長沙大火は、焦土作戦や堅壁清野といった戦略の一環であったこと、また中国共産党の指導者周恩来の存在が如何に事態に影響を及ぼしたかについて、様々な史料や論文において議論がなされています。

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