長生蘭

長生蘭について

長生蘭（ちょうせいらん）は、日本に自生するセッコク（Dendrobium moniliforme）の一種で、主に中部以南で見られる東洋ランの一つです。紫褐色の茎が集まり、樹上に取り付いて赤紫がかった白い花を咲かせる姿が特徴です。その名称は、漢方薬として用いられたことに由来しています。

概要

長生蘭は、古くから庭木やシノブ玉として栽培されており、江戸時代には100種類以上の銘名品が存在していたとされています。特に公家や町人に愛された歴史があります。歴史の中で明治維新や第二次世界大戦を経ても、長生蘭は100品種以上が存続し、近年では特有の斑入りや形変わりを楽しむことが多くなっています。

特徴

長生蘭は、観賞価値の高い様々な部分に特長があります。特に「矢」と呼ばれる茎の形状や特徴が魅力的で、普通の並品は30cmほどの棒状で、両端が細くなっています。また、色の変化も豊富で、初年は緑色ですが、後に紫褐色へと変わります。さらに、アメ矢と呼ばれる薄い色のものや、青く透ける矢、透けていない泥矢といった多様なバリエーションがあります。

芸の特徴

長生蘭では、葉の形や斑模様も多様性に富んでいます。並種の葉は一般的には平らでつやあり、細長い葉や丸形の葉など、見た目の個性があります。また、葉脈に沿った隆起や、葉先が割れる特異な形も存在します。特に「狂獅子」と呼ばれる品種は、茎と葉が独特な形状になり、八重咲きの花のような趣があります。

斑入りの葉

葉に施された斑模様も、長生蘭の大きな魅力です。白や黄色の斑が入ることを「斑」と呼び、特に人気のある銘名品には多く見られます。葉の縁に入る斑は覆輪（ふくりん）と称され、白覆輪や黄覆輪、内側に斑が入る中斑（なかふ）など、さまざまな種類があります。

花の種類

長生蘭の花には、赤紫色の濃い「赤花」、豊かな黄色の「黄花」、また個性的な六弁花や八重咲きの「変わり咲き」など、多様な品種があります。しかし、葉や茎に独自の特徴がない個体は「セッコク花もの」として区別され、長生蘭とは異なる園芸のカテゴリーとして扱われています。

代表的な品種

有名な品種としては、

• - 銀竜：中型で白覆輪があり、一般的な形状。
• - 横綱：太い矢と大きな葉を持つ。
• - 昭代：低い株で楕円形の葉。
• - 満月：葉が丸く、白覆輪が入る。

他にも多くの斑模様や個性的な形を持つ品種があり、愛好家の間では熱心に栽培されています。

栽培の注意点

長生蘭は、その美しさを保ちながら栽培するため、光や水、温度管理が重要です。特に栽培中に芸の変化が楽しめるため、育てる楽しみにも事欠きません。芸が変わることによって名前が変わる場合もあり、例えば「南京丸」が「楊貴妃」となることもあります。このように、長生蘭は美しさと変化を兼ね備えた魅力的な園芸植物です。

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