長老支配

長老支配（ちょうろうしはい）とは

長老支配とは、主に高齢者や経験豊かな人物がリーダーシップを取る政治体制のことで、英語では「gerontocracy」と呼ばれています。この概念は、国家や組織の権力を持つ者が年長者であるという特徴を持ち、その対義語として「青年政治（juvenocracy）」が存在します。長老支配の下では、年齢や経験が重視され、指導者たちは通常、豊富な政治経験や実績を有しています。

主要な長老支配の例

長老支配の典型的な例として、多くの共産主義国家に見られます。特にソビエト連邦では、1982年までレオニード・ブレジネフが最高指導者として75歳で亡くなるまで権力を保持しました。その後も、ユーリ・アンドロポフやコンスタンティン・チェルネンコといった高齢者たちが次々と指導者の座に就きました。ブレジネフの死去からゴルバチョフの登場まで、指導者の健康状態は西側メディアにとって重要な関心事でありました。

一方、中華人民共和国においても、建国の父である毛沢東が1949年から1976年まで最高指導者であり続けました。彼は83歳で亡くなる際には、執務に支障を来すほどの健康状態にありましたが、中国国内では批判が許されない状況にあったため、退任することなく在任し続けました。毛の死後、文化大革命で弾圧されていた指導者たちが政権を有力に掌握し、「八大元老」と呼ばれるグループが形成されました。鄧小平はその中心として権力の維持に努めましたが、自らも90歳近くまで重要なポジションを保持していました。

また、共産主義国家以外でも長老支配の影響が見受けられます。日本の自由民主党では、年配の派閥リーダーが権力を握り、税制に詳しい長老議員が実権を持つことがよくあります。過去には、山縣有朋や東郷平八郎などの政治家たちが長老支配の典型として知られています。特に山縣や東郷は制度上終身現役を保証された元帥でありました。

日本の政界では、田中角栄が退任後も大きな影響力を持ち続けた例が挙げられます。退任後もその存在感を失わなかった田中のように、年長者の影響力は時に権力と結びつくことがあるのです。

他の分野での長老支配

政治の他にも、長老支配は多くの社会や文化に存在しています。伝統的な芸能や宗教においては、長年の修行を経た人々がトップに立つことが一般的であり、これらの分野でも年齢による支配が容易に成立します。例えば、大相撲では親方の定年制が存在しますが、引退した師匠たちが相撲部屋の継承において重要な役割を果たすこともあります。

主な日本のジェロントクラート

長老支配の影響を受けた日本の著名な人物には、読売新聞の渡邉恒雄や元首相の中曽根康弘、森喜朗、さらには小沢一郎や安倍晋三などがいます。これらの人物は、在任後も強い影響力を持ち続け、政治やメディアの運営において重要な役割を担いました。また、大相撲界や芸能界にも長老支配の見られる例が多く、スーパースターたちが引退後もその影響力を維持する姿が確認されています。

長老支配は、年齢や経験が重視される社会において重要なテーマとして根強く存在しており、その影響力は今なお続いています。

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