長谷寺 (鳴門市)

長谷寺（ちょうこくじ）

長谷寺は、徳島県鳴門市撫養町木津に位置する高野山真言宗に属する寺院です。この寺院は、山号を豊山、院号を神楽院とし、主祭神は十一面観世音菩薩です。また、長谷寺は新四国曼荼羅霊場の第2番札所および阿波北嶺薬師霊場の第19番札所としても知られています。

ご詠歌

長谷寺にまつわるご詠歌は、「いくちよも　めぐみかわらぬ　とよやまに　ひかりかがやく　のりのあさひは」と詠まれ、ここでの信仰と自然の美しさが表現されています。

歴史

長谷寺の創建は1480年にさかのぼります。創立者である船戸左衛門尉次正は、敵に討たれた主人の仇を討つために、長谷寺の観世音に月参りをしていました。ある夜、長谷の里に到着した際、誤って盗賊とみなされ、処刑の危機に瀕した次正を救ったのが長谷寺の住職でした。観世音からの夢のお告げを受けた住職は、次正を寺に匿い、寺にある十一面観世音菩薩像を彼に贈りました。それは、次正が四国で堂を設けるための励ましでもありました。

こうした背景から、次正は大和国の長谷寺と同じ山号・院号・寺号を持つ「長谷寺」を建立しましたが、読み方は「ちょうこくじ」としました。寺の創建当初、その周辺は海に囲まれていたため、入江の寺として「木津江寺」とも呼ばれることがありました。

長谷寺の歴史は多くの出来事に彩られています。1582年には長宗我部元親による攻撃で寺が灰燼に帰し、その後も再建が繰り返されています。1598年には蜂須賀家政により淡路街道の駅路寺として指定され、1601年には撫養城主の益田八右衛門によって本堂が再建されました。また、1868年には神仏分離令によって別当関係が解消され、土地が分割されるという出来事もありました。1995年には、境内にあるイチョウの木が鳴門市の天然記念物に指定されています。

境内の施設

長谷寺には多くの重要な施設が存在します。本堂（観音堂）では、十一面観音が祭られており、その中には仁王像や四天王像も見ることができます。また、持仏堂では鉄筋造りの現代的なお堂が天井画を鑑賞するために設けられています。毘沙門天堂や不動堂、鎮守社も境内にあり、それぞれの祭神を祀っています。

文化財

長谷寺は、その文化的価値から多くの文化財が指定されています。鳴門市指定有形文化財には、1598年および1641年に発行された文書があります。特に、樹齢600年とされる長谷寺のオハツキイチョウは、鳴門市の天然記念物として指定されています。

交通アクセス

長谷寺へのアクセスは、四国旅客鉄道（JR四国） 鳴門線の金比羅前駅から徒歩約80メートルとなっており、訪れるのが容易な立地です。寺を訪れることで、長い歴史と信仰の息吹を感じることができるでしょう。

長谷寺はその文化的背景、歴史、自然環境が見事に融合した場所であり、訪れる価値のあるスポットと言えます。

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