長谷川かな女

長谷川かな女（はせがわ かなじょ）

長谷川かな女は、1887年（明治20年）10月22日に東京日本橋で生まれ、1969年（昭和44年）9月22日に81歳で亡くなった日本の俳人です。本名はカナ。小説家の三田完は彼女の孫にあたります。

生涯

幼少期を東京で過ごし、私立松原小学校を卒業後、小松原塾で学びました。1903年には三井家に行儀見習いとして入りますが、心臓の病気のため退いています。1909年、英語の家庭教師であり、俳誌「ホトトギス」の俳人であった富田諧三（のちの長谷川零余子）と結婚。この結婚を機に、かな女自身も俳句を作り始めました。

1913年には、高浜虚子が女性俳人の育成のために始めた婦人俳句会「婦人十句集」の幹事役を務めます。杉田久女、竹下しづの女と並び、大正期を代表する女流俳人として活躍しました。

1921年、夫の零余子が俳誌「枯野」を創刊すると、その主宰を助けました。1928年に零余子が亡くなると、直後に自宅が火災で全焼してしまいます。その後、埼玉県浦和市（現在のさいたま市）に転居し、夫の俳誌を「ぬかご」と改題しました。水野六山人と共に雑詠選を担当しますが、意見の対立から1930年に俳誌「水明」を創刊し、没年まで主宰しました。

1966年には、長年の俳句への貢献が認められ、紫綬褒章を受章。また、浦和市（現さいたま市）名誉市民にも選ばれています。

1969年9月22日、自宅にて老衰による肺炎のため永眠しました。2013年11月には、「水明」通巻1000号を記念して、俳句と随筆の全てを収めた『長谷川かな女全集』が東京四季出版より刊行されています。

作品

句集

『龍胆』（1929年6月、ぬかご社）
『雨月』（1939年10月、水明発行所）
『胡笛』（1955年3月、水明発行所）
『定本かな女句集』（1964年4月、世界文庫）
『牟良佐伎』（1969年5月、東京美術）

随筆

『小雪』（1959年12月、水明発行所）

評論

『加賀の千代』（1943年3月、育英書院）

参考文献

齋藤慎爾、坪内稔典、夏石番矢、復本一郎編『現代俳句ハンドブック』雄山閣、1995年

外部リンク

現代俳句人名事典における長谷川かな女の俳句
長谷川かな女の句の鑑賞（『増殖する俳句歳時記』）

長谷川かな女は、俳句の世界において、女性の地位向上に大きく貢献した人物です。その作品は、繊細で情感豊かであり、今も多くの人々に愛されています。

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