長谷川久蔵

長谷川久蔵について

長谷川久蔵（はせがわ きゅうぞう）は、永禄11年（1568年）に生まれ、文禄6年6月15日（1593年7月13日）に26歳でこの世を去った安土桃山時代の絵師です。父は長谷川等伯であり、長谷川派の絵師として活動しました。

生涯

久蔵は、能登国（現在の石川県）で長谷川等伯の長男として誕生しました。母は等伯の先妻である妙浄です。同母弟には長谷川宗宅（等後）、異母弟には宗也・左近（等重）がいます。また、2人の同母姉妹がおり、それぞれ等伯の弟子である等秀、等学と結婚しました。

江戸時代の画史である『弁玉集』や『長谷川家系譜』には、久蔵を長谷川信春（等伯の若い頃の名）と同一人物とする記述が見られますが、近年の研究によってこれは否定されています。

『太閤記』には、名護屋城の襖絵に関する記述があり、その中に「山里御座の間、児童の色絵有、長谷川平蔵これを図す」という一文があります。この平蔵が久蔵の誤記だと考えると、久蔵は狩野光信などの狩野派の絵師たちと共に障壁画の制作に参加していた可能性が示唆されます。

『本朝画史』では、久蔵の画について、「画の清雅さは父に勝り、長谷川派の中で及ぶ者なし。父の画法を守り、人物・禽獣・花草に長じる」と記されており、その画力が高く評価されていたことがわかります。長男であり、優れた画技を持っていたことから、長谷川派の次期棟梁として期待されていましたが、父に先立ち、26歳という若さで亡くなりました。

久蔵の墓は京都の本法寺にあり、法名は道淳です。

作品

現存する作品は少ないものの、その画力は高く評価されています。

参考資料

藤本正行 『武田信玄像の謎』 吉川弘文館<歴史文化ライブラリー206>、2006年、165-178頁。ISBN 978-4-642-05606-9
東京国立博物館 京都国立博物館 毎日新聞社編集 『没後400年 長谷川等伯』 2010年2月
* 石川県七尾美術館 『長谷川等伯没後400年記念・開館15周年記念 等伯をめぐる画家たち』 2010年4月

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