長谷川五郎

長谷川五郎：オセロの父とその波乱万丈な人生

長谷川五郎氏（本名：長谷川敏、1932年10月19日 - 2016年6月20日）は、世界中で愛されるボードゲーム「オセロ」の開発者として知られています。茨城県水戸市出身、英文学研究者である父を持ち、旧制水戸中学校（現・茨城県立水戸第一高等学校）を経て茨城大学を卒業。中外製薬株式会社に営業職として勤務していました。

オセロ誕生秘話：入院中から始まった創造

営業職のかたわら、将棋や囲碁のアマチュア五段としての実力を持つ長谷川氏は、怪我で入院した際に、誰もが楽しめるゲームの開発に着手します。既存のゲームを改良するのではなく、独自のルールに基づいたゲームを考案。それが、世界的に有名な「オセロ」の原型となりました。

オセロの誕生には、様々なエピソードが残されています。当初はイギリスのゲーム「リバーシ」の改良版と説明していたものの、後に独自の考案であると主張を変えています。また、実用新案登録の書類では、源平碁の改良版と記述。晩年には、短い休み時間でも遊べるゲームを目指し、挟み碁から発想を得て、現在のルールにたどり着いたと語っています。

「オセロ」という名称は、英文学研究者である父に相談した結果、シェイクスピアの戯曲『オセロ』から名付けられたと言われています。黒人軍人オセロと白人妻デズデモーナの対比を、黒と白の石、そして緑の盤面に投影したという、興味深いエピソードも残されています。

オセロの成功と日本オセロ連盟の設立

自作のオセロを顧客に披露したところ好評を得て、1972年には玩具メーカー・ツクダ（現・メガハウス）と契約を結びます。当時、ゲームへのロイヤリティ支払いは一般的ではありませんでしたが、ツクダの社長・佃義範氏の理解により、長谷川氏はロイヤリティを受け取ることに成功。1973年には日本オセロ連盟を設立し、全日本オセロ選手権大会を開催するなど、オセロの普及に大きく貢献しました。

多彩な才能：オセロだけではないボードゲーム開発

長谷川氏の才能はオセロに留まりません。88オセロ、グランドオセロ、ソクラテス、ミラクルファイブ、セルゴ、大碁など、数々のボードゲームを開発。日本オセロ連盟元会長、オセロ名誉十段の称号を持つほか、将棋・囲碁共にアマチュア五段の実力を持つなど、ボードゲーム界における多大な貢献が認められています。

晩年と業績

晩年は病気療養を行い、2016年6月20日、千葉県柏市の自宅で83歳で死去しました。長谷川氏は、数々の書籍を出版し、オセロの普及に努めました。その功績は、現代においても世界中で愛されるオセロというゲームに、そしてボードゲーム文化の発展に、大きな影響を与え続けています。

長谷川五郎氏の主要著書

How to win at Othello (1977)
オセロ (1979)
オセロの打ち方 ― 勝つための基本戦術 (1981)
オセロ百戦百勝 ― 勝つための技術 (1990)
オセロ大観（1）（2）(1995)
オセロの勝ち方 (2001, 増補版2005, 改訂新版2006)
オセロ百人物語 オセロ史を飾った名選手たち (2005)
オセロ教室 (2008)
* ソクラテスの打ち方 (1994)

これらの著作は、オセロの戦略や戦術、歴史、そして名プレイヤーたちの活躍を伝えています。長谷川五郎氏は、単なるゲーム開発者ではなく、ボードゲーム文化の発展に貢献した重要な人物であったと言えるでしょう。彼の功績は、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。

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