長野県飯田長姫高等学校

長野県飯田長姫高等学校

長野県飯田長姫高等学校（ながのけんいいだおさひめ こうとうがっこう）は、かつて長野県飯田市に所在した県立高等学校です。その歴史は1921年（大正10年）に始まり、約90年間にわたり地域教育の一翼を担いました。2013年（平成25年）3月末をもって、長野県飯田工業高等学校との再編・統合により、長野県飯田OIDE長姫高等学校として新たな歴史を刻むこととなり、閉校しました。旧校地は統合後の飯田OIDE長姫高等学校が引き継いで利用しています。

概要と特色

本校は、1921年に創設されました。開校当初は飯田城（別名「長姫城」）の跡地に校舎が建てられたことから、「長姫」の名を冠しています。設置学科としては、商業科のほか、建築科や土木科といった工業系の学科も有しており、地域産業に貢献する人材育成に力を入れていました。また、定時制課程も設置されていました。

学校行事の一つである文化祭は、「長姫祭」として親しまれ、これも校名に由来するものです。

特筆すべきは、硬式野球部の輝かしい歴史です。1954年（昭和29年）、身長157cmながら「小さな大投手」と称されたエース・光沢毅選手を擁し、第26回選抜高校野球大会に出場。決勝戦では小倉高校を1対0で破り、飯田市内の高校としては唯一となる全国制覇を成し遂げました。これは学校の歴史において非常に大きな功績として語り継がれています。

さらに、本校の旧校舎は、1978年に公開された藤田敏八監督の映画『帰らざる日々』のロケ地としても使用され、映像作品の中にその姿を残しています。

沿革

学校の沿革は以下の通りです。

1921年5月：飯田町立長野県飯田職業学校として設立されました。
1922年4月：飯田町立飯田商業学校へ改称され、女子部が廃止されました。
1937年4月：市制移行に伴い、飯田市立飯田商業学校となりました。
1939年4月：長野県へ移管され、長野県飯田商業学校と名称を変更しました。
1944年4月：土木科と建築科を新たに設け、長野県飯田商工学校となりました。
1948年4月1日：学制改革により、長野県実業高等学校として再編。商業科、土木科、建築科、定時制商業科が置かれました。
1949年5月：長野県飯田長姫高等学校へと改称し、定時制普通科も設置されました。
1950年4月：定時制普通科の上郷分校が開設されました。
1954年4月：第26回選抜高等学校野球大会で全国優勝の栄冠に輝きました。
1956年3月：上郷分校が廃止されました。
1982年8月：飯田市鼎町にある現在の校地へ移転が行われました。
1982年8月19日：新校舎での開校式が執り行われました。
1982年8月27日：旧校舎の解体作業が開始されました。
1985年10月：校舎の全面改築が完了し、諸施設の竣工記念式典が挙行されました。
1997年4月：下伊那農業高校との間で学校間連携が実施されました。
2001年4月：定時制商業科の生徒募集が停止されました。
2001年10月3日：創立80周年を記念する式典が行われました。
2006年9月：統合による新設高校の名称公募が始まりました。
2007年2月：長野県議会において、長野県飯田工業高等学校との統合案が正式に決定されました。
2010年11月：新高校の校名に関する協議が行われましたが、決定には至りませんでした。
2011年4月：統合により誕生する飯田新校の第1期生が入学しました。
2013年3月2日：長野県飯田長姫高等学校としての閉校式が挙行され、長い歴史に幕を閉じました。

教育方針

本校では、以下の教育目標を掲げていました。

真理と正義を愛し、自律的な精神を持ち、強固な意志と質実剛健な気風を育む。
礼儀を重んじ、勤労の価値を理解し、強い責任感を持つ人間の育成に努める。
科学的かつ創造的な思考力を養い、豊かな情操を育む。

設置学科

閉校時点では、以下の学科が設置されていました。

全日制
商業科
土木科
建築科

定時制
普通科

部活動

多くの運動部と学芸部が活動していました。

全日制運動部
男子バレーボール部
女子バレーボール部
野球部
男子バスケットボール部
女子バスケットボール部
ソフトテニス部
卓球部
ラグビー部
サッカー部
ソフトボール部
弓道部
バドミントン部
空手部
テニス部
水泳部

全日制学芸部
美術部
吹奏楽部
軽音楽部
建築研究部
土木研究部
商業研究部

定時制
バレーボール部
バスケットボール部
ソフトテニス部（男子・女子）
卓球部
男子バドミントン部
女子バドミントン部

交通アクセス

JR飯田線 鼎駅より徒歩約10分でした。

主な出身者

様々な分野で活躍する人材を輩出しています。

藤本 四八（写真家）
松下 宗之（元朝日新聞社社長）
光沢 毅（社会人野球選手・監督、野球解説者）
中岡 京平（脚本家）
横田 尚武（篤農家）
橘家 圓十郎（落語家）

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