長野規

長野規（ながの ただす）の生涯と業績

長野規は、1926年1月13日に東京市京橋区（現在の中央区）に生まれた。和歌山県出身の両親のもとで育ち、青山学院中等部から早稲田大学へ進学。大学在学中に学徒動員で召集され、東京都内で終戦を迎えた。1950年に大学を卒業後、1951年に小学館に入社し、後に子会社の集英社に移籍した。彼は『おもしろブック』や『こばと』、そして『りぼん』など、数々の雑誌で編集長を務めた。

1958年には『週刊明星』の副編集長として関わったが、編集長である本郷保雄と衝突し、一時は平社員に降格される。その後、陶山巌社長の引き留めを受け、編集長の座に返り咲くことができた。1968年には『少年ジャンプ』の創刊に際し、初代編集長としてこの新しい雑誌を牽引する役割を果たした。初めは月2回の刊行だったが、売上の伸びと他誌のリニューアルに合わせて週刊化が決定された。

長野は「友情・努力・勝利」を掲げた編集方針により、大きな成功を収めた。同時に、漫画家専属制度を導入したことで賛否を呼ぶこともあった。読者アンケートを活用し、連載作品の存続や終了を決定する方針も確立したことは、彼の編集スタイルの特徴でもある。しかし、彼は単なる利益追求型ではなく、反戦漫画の名作『はだしのゲン』を支持するなど、多様な視点を持ち合わせていた。『はだしのゲン』の連載は、彼が編集長を辞任する際に中断し、他社に移行してしまった。

長野は、集英社内の組合活動に対して厳しい姿勢を示していた。彼は戦時中の経験から反戦の意識が強く、安易な戦記ブームに疑問を持っていた。部下の西村繁男によると、彼は「心情左翼行動右翼」と評されるように、思想的には複雑な立場にいたことが分かる。アンケートについては、その解析力に定評があり、広告戦略や読者の心情を的確に読み取っていた。当時としては驚異的な洞察力で、彼の手法は多くの編集者に受け継がれた。

1974年に編集長の座を中野祐介に譲った後は専務に就任したが、1992年に辞任。長野は若い頃から詩を書き続けており、ついに1993年に第一詩集『大伴家持』を発表し、以後も精力的に作品を発表。彼の詩集は毎年1冊のペースで発行され、2000年の『キリスト異聞』が最後の作品となった。

2001年11月24日に食道癌で亡くなるまで、長野規は人々に深い印象を残した。彼の業績は、漫画業界だけでなく、文学の世界においても評価され続けている。彼の人生と仕事を通じて、今もなお多くの人々に影響を与えている。

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