長野隆

長野隆（ながの たかし）

長野隆は、1951年10月14日に福岡県で生まれ、2000年8月31日に48歳という若さで急逝した小説家、批評家、文学者です。彼は、萩原朔太郎、中原中也、太宰治といった日本の近現代文学を代表する作家たちの作品を主な研究テーマとして、精力的に活動しました。

生涯

福岡県京都郡で生まれた長野隆は、福岡県立京都高等学校を卒業後、喘息による一年間の休学を経て、1971年に関西学院大学に入学しました。大学では文芸部に所属し、部詩「関学文芸」に参加する傍ら、「関西文学」の会員としても活動しました。1976年には同大学大学院文学研究科博士前期課程に進学し、1978年には博士後期課程に進みました。大学院では、研究領域を中世歌論、特に藤原定家の研究へと移行しました。

1983年、長野隆は弘前大学教育学部国文学講師に就任し、弘前大学近代文学研究会を設立しました。1986年には同大学助教授、1993年には教授に昇任しました。1988年には交換教授としてテネシー大学の客員教授を務め、1998年から1999年には国際交流基金派遣教授としてカイロ大学院の客員教授を務めました。弘前大学教授在任中の2000年8月31日に急逝しました。

弘前大学時代

弘前大学では、会誌「弘前大学近代文学研究誌」を創刊し、毎年、講演会や合宿を重ねることで、学生たちの学問的な視野を広げ、熱心に指導しました。彼の指導は、多くの学生に大きな影響を与えました。

文学活動

1974年、長野隆は佐々木育雄らと同人誌「カルデラ」を創刊しました。1978年には饗庭孝男が主幹を務める「現代文学」に参加し、評論などを寄稿しました。1979年には山田兼士らと研究同人誌「詩論」を創刊し、研究方法として、吉本隆明や菅谷規矩雄らの「原理的批評」を標榜しました。

彼の研究テーマは、近代・現代詩論、そして太宰治を中心とする昭和文学でした。これらのテーマに関する研究を通して、独自の文学理論を展開しました。

著書

『抒情の方法』
『太宰治－その終戦を挟む思想の転位』（編著）（双文社出版、1999年）
『萩原朔太郎の世界』（編著）（砂子屋書房、1987年）
『中原中也魂とリズム』（編著）（有精堂出版, 1992年）

追悼

長野隆の逝去後、山田兼士を代表とする「長野隆著作編集委員会」が結成され、2002年8月には『長野隆著作集』（全3巻）が刊行されました。彼の業績は、今もなお多くの人々に影響を与え続けています。

長野隆は、日本の近現代文学研究に多大な貢献をしただけでなく、教育者としても多くの学生を育てました。彼の情熱的な研究姿勢と、学生に対する熱心な指導は、多くの人々に感銘を与えました。彼の著作や研究は、今後も文学研究者や学生にとって重要な資料となるでしょう。

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