長野電鉄モハ1100形電車

長野電鉄モハ1100形電車について

長野電鉄モハ1100形電車は、1961年に導入された制御電動車で、従来の木造車両を鋼体化改造した結果生まれました。この電車は、主に朝夕の通勤ラッシュ時に運行され、長野電鉄の重要な輸送手段となりました。また、このモハ1100形に加え、同じく木造車を改造したクハ1150形電車についても詳しく見ていきます。

概要

モハ1100形は、日本国有鉄道（国鉄）より払い下げを受けたモハ1形、クハ50形、クハニ60形の3両を基に、1961年に鋼体化改造として製造されました。これらの車両は、本来信濃鉄道が国有化された際に国鉄に編入され、その後改称や再番号付けを経た結果、長野電鉄に払い下げられました。

導入後、これらの電車は主にモハ1とクハ51の2両編成で運用されました。しかし、1960年にクハ51が踏切事故に遭ったことから、3両全ての鋼体化改造が決定されました。これにより、1961年に新たにモハ1100形1101、1102とクハ1150形1151が製造されました。新しい車体は全鋼製で、両開扉を持つ仕様となり、当時の長野電鉄では初めての採用です。

車体の特徴

長野電鉄モハ1100形およびクハ1150形の車体は、準張殻構造が採用されており、全長18,600mmで、クリーム色に赤い帯が施されています。片運転台構造を持ち、モハ1101には運転台が妻面に、モハ1102とクハ1151にはそれぞれ反対側に設けられています。

前面形状は、丸みを帯びた平妻形状で、モハ1102は貫通扉を装備していますが、他の2両は非貫通構造です。また、乗客用の長い窓は、二段上昇式のサッシが使われており、客用扉は約1,300mmの広さを持つ両開き扉が2箇所に設置されています。車内はロングシート構造で、蛍光灯による照明が施されています。

主な機器

モハ1100形の主要機器に関しては、改造の際に主電動機や制御装置、制動装置は他の車両から流用されたものとありますが、その他の機器は新造または他社から買った中古品が使用されています。主制御器としては、ウェスティングハウス製の電空式間接非自動制御装置が搭載され、主電動機は直流直巻電動機WH-556-J6を各車両に4基ずつ搭載しています。

台車は、帝國車輛工業製のUD-26に換装されています。この台車は他社からの中古品で、ボールドウィンA形台車を基にした形鋼組立形の台車です。

運用と歴史

長野電鉄モハ1100形・クハ1150形は、導入当時、一般形電車の中でも収容力が最も高く、朝夕の通勤時間帯に優先的に運行されました。通常は3両編成として運用されることが一般的で、時にはクハ1151を外して2両編成での運用も想定されていました。

1970年代には長野市内の地下化工事が進む中、古い車両が基準に適合しないことから、順次淘汰が進められました。モハ1100形とクハ1150形もその対象となり、1979年には全車が除籍されました。その後、豊橋鉄道や伊予鉄道に譲渡され、新たな生涯を歩むことになります。

他社への譲渡後

譲渡後、豊橋鉄道では、モハ1101とクハ1151が改造され、新たな形式の車両として使用されました。また、伊予鉄道ではモハ1102が増結車として改装され、新たに運行を開始しました。これらの車両はそれぞれの路線で運用され、1970年代の間、多くの乗客を運び続けました。モハ603としての運用を終了する頃には、両社の車両とも役目を果たした後、最終的には1995年まで運用されつづけた歴史を持っています。

このように、長野電鉄モハ1100形電車は、鋼体化改造によって生まれ変わった重要な車両として交通に貢献したことが窺えます。

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