門信一郎

門信一郎

門信一郎（かど しんいちろう）氏は、1967年11月4日生まれの日本の物理学者、工学者です。京都大学エネルギー理工学研究所の准教授として、プラズマ物理学、核融合学、プラズマ分光学、プラズマ診断法、理科教育といった幅広い分野で研究・教育活動に従事しています。

経歴

佐賀県伊万里市出身で、佐賀県立伊万里高等学校を経て、1992年に京都大学理学部物理系を卒業しました。その後、九州大学大学院総合理工学研究科に進学し、博士（工学）の学位を取得しました。

1997年からは自然科学研究機構核融合科学研究所の助手として研究活動を開始し、2000年には東京大学高温プラズマ研究センターの助教授、准教授を経て、2008年からは東京大学大学院工学系研究科原子力国際専攻の准教授を務めました。2013年からは、現在の京都大学エネルギー理工学研究所准教授として活躍しています。また、2010年から2013年まで文部科学省学術調査官（研究開発局）も務めました。

研究活動と社会貢献

門氏は、プラズマ・核融合エネルギーの研究を専門とする傍ら、実験物理学の手法を他分野の分析に応用し、新たな解釈を試みる研究も行っています。また、スーパーサイエンスハイスクール事業発足時から、中学・高校生を対象としたアウトリーチ活動にも積極的に関与しています。

2011年3月に発生した東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所事故では、事故分析チームに参加し、NHKスペシャル「メルトダウン」シリーズの分析に貢献しました。特に、2号機からの漏洩における逃がし安全弁（SR弁）操作の関与の可能性を指摘し、複数の専門家との連携による事故分析の重要性を訴えました。

さらに、原発事故後に発足した「核融合エネルギーアセスメントに関するタスクフォース委員会」にも参画し、当時のINES（国際原子力事象評価尺度）におけるCs-134のヨウ素換算倍率係数の誤りを指摘、IAEAに訂正を促すなど、原子力安全に関する国際的な活動にも貢献しています。

2020年2月以降、日本国内でも拡大した新型コロナ肺炎（COVID-19）の流行においては、SIRモデルを参照した行動変容の指針や、実効再生産数の速報値の推定方法を提唱するなど、感染症対策の分野でもその知見を活かしています。

著書

門氏は、数多くの研究論文や著書を発表しており、単著としては、「理科教育の現場にプラズマ・核融合を」や「この感染は拡大か収束か：再生産数 R の物理的意味と決定」などがあります。また、共著としては、プラズマ・核融合学会の「カラー図解プラズマエネルギーのすべて」、福島第一原子力発電所事故に関する考察をまとめた「Reflections on the Fukushima Daiichi Nuclear Accident」、感染症モデルを電子回路シミュレータで解析する手法を解説した「電子回路シミュレータで解く感染症モデル」などがあります。

外部リンク

京都大学 教育研究活動データベース
門信一郎 - KAKEN 科学研究費助成事業データベース
公式ウェブサイト
門 信一郎 (@plasmankado) - X（旧Twitter）

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