間投イントネーション

間投イントネーションとは

間投イントネーションとは、主に北陸地方（富山県、石川県、福井県）で用いられる日本語の方言特有のイントネーションです。別名として、ゆすり調、うねり音調、ゆすりアクセントなどとも呼ばれます。

概要

このイントネーションは、文末や会話の区切りといった文節の終わりに、音が上下にうねるような抑揚を伴うのが特徴です。山口幸洋は、この現象を「間投イントネーション」と名付け、その機能について「聞く人の注意を引きつけ、常に反応を確かめながら、話し手自身が余裕を保つため」であると分析しました。

特徴

新田哲夫によれば、福井県嶺北方言の間投イントネーションには以下の3つの特徴があります。また、このうち1と2は石川県金沢市方言にも共通する特徴であると指摘しています。

1. 間投イントネーションが現れる箇所は長音化する。
2. 末尾の長音に重なるイントネーションには、わずかなくぼみが見られる。
3. イントネーションのくぼみが起こる直前に、大きな下降がある場合とない場合がある。

さらに、嶺北方言と金沢方言の間には、以下のような違いも見られます。嶺北方言では、間投助詞と間投イントネーションが同時に現れることはありません。しかし、金沢方言では、間投イントネーションの後に間投助詞が続くことがあったり、間投助詞そのものに間投イントネーションが重なることがあります。

使用例

以下に使用例を示します。

[はアクセント・イントネーションの上昇、]はアクセント・イントネーションの下降を表します。

[ホヤケ]ド[ー　[ウ]ラ[ー　イ[マ]ノ　コ[ラ]ト　チ[ゴテ] （そうだけど、私、今の子らと違って：旧織田町笈松方言）
[ア]ノ[オ]ー（あの：旧織田町方言）
[ホ]ンデ[ネ]ー[ー] または [ホ]ンデ]ー[ー]ネ（それでね：金沢市方言）

間投イントネーションが使用される方言

間投イントネーションは、以下のような方言で確認されています。

富山弁
飛騨弁
能登弁
加賀弁
福井弁
嶺南方言
近江弁（北部の湖北・湖西の一部）
丹波方言（舞鶴弁・福知山弁）
丹後弁
但馬弁

これらの地域では、独特のイントネーションが会話に彩りを添えています。

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