関ノ戸澤右エ門

関ノ戸澤右エ門：江戸時代後期の小結力士

関ノ戸澤右エ門（せきのとさわえもん、1767年-1817年12月21日）は、現在の群馬県高崎市吉井町出身の大相撲力士です。佐渡ヶ嶽部屋に所属し、江戸時代後期、寛政から文化年間にかけて活躍しました。最高位は小結に上り詰め、松江藩のお抱え力士として人気を集めました。本名は阿藤初五郎です。

華麗なる経歴：数々の四股名と改名

関ノ戸澤右エ門の生涯は、数々の改名によって彩られています。初土俵は1790年（寛政2年）3月場所。その後、1796年（寛政8年）10月場所に十両に昇進、翌1797年（寛政9年）10月場所では幕内入りを果たします。

その活躍ぶりは目覚ましく、1802年（享和2年）11月場所には二枚鑑札で年寄・佐渡ヶ嶽を襲名。さらに、1807年（文化4年）11月場所には、念願の小結に昇進しました。1810年（文化7年）2月場所を最後に現役を引退し、年寄専務となります。

彼の改名遍歴は実に華やかでした。八ッヶ浦、巻ノ嶋、三百ヶ嵜、桟シ初五郎と四股名を変更した後、佐渡ヶ嶽澤右エ門、佐渡嶽澤右エ門、関ノ戸澤右エ門、関の戸澤右エ門と、実に5回もの四股名変更を経験しています。引退後も年寄名として、佐渡ヶ嶽、関ノ戸、再び佐渡ヶ嶽と変遷しています。この頻繁な改名は、当時の相撲界の慣習や、彼を取り巻く様々な事情を反映しているのかもしれません。

幕内での活躍：記録に残る戦績

関ノ戸澤右エ門の相撲人生は、幕内での活躍が中心でした。22場所の幕内成績は92勝37敗54休20分3預3無と、堂々たるものです。十両での成績も13勝2敗1分1預1無と好成績を残しており、その実力は折り紙付きでした。通算成績は24場所、105勝39敗54休21分4預4無という記録を刻んでいます。これらの数字は、彼が幕内上位で活躍した証であり、当時の相撲界において重要な存在であったことを示しています。

惜しまれつつ幕を閉じた生涯

1817年12月21日、関ノ戸澤右エ門は生涯の幕を閉じました。数々の改名、そして小結という偉業を達成した彼の生涯は、まさに波瀾万丈と言えるでしょう。彼の活躍は、当時の相撲界に大きな影響を与え、後世に語り継がれる存在となりました。数々の四股名、そして年寄名を通して、相撲史にその名を刻み込んだ関ノ戸澤右エ門は、今もなお、多くの人々の記憶に深く刻まれています。その活躍は、現代の相撲ファンにとっても興味深いものと言えるでしょう。彼の生涯は、単なる力士の物語ではなく、当時の社会情勢や相撲界の風習を垣間見ることができる貴重な資料となっています。

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