関内侯

関内侯について

関内侯（かんだいこう）は、漢王朝の爵位制度における位の一つです。漢の二十等爵において19番目に位置し、最上位である列侯に次ぐ高い爵位でした。

関内侯の由来

関内侯という名前の由来については、いくつかの説が存在します。

領地の有無: 「侯の称号はあっても封国がなく、関内（函谷関以西、秦の元々の領土）に居住していたため」という説（『漢書』顔師古注）
租税の徴収: 「関内の邑から租税を得ていたため」という説（『続漢書』注引如淳）
歴史的背景: 「秦が六国を滅ぼす以前、将帥の家は関内にあったため」という説（『続漢書』注引荀綽『晋百官表注』）
秦の直轄領: 「秦が関内を直轄領としていたため」という説（『続漢書』劉昭注）

これらの説から、関内侯という名称が、漢王朝の成立以前の秦の時代に遡る可能性も示唆されています。

列侯との違い

関内侯と列侯の主な違いは、本来、食邑（しょくゆう：領地）の有無にありました。顔師古注によると、関内侯には原則として食邑は与えられず、特別に関内の邑の租税のみが与えられることがありました。しかし、実際には関内侯にも食邑が与えられた例が多数存在し、この解釈は誤りであるとされています。そのため、関内侯と列侯の間には、実利的な意味での大きな違いはなかったと考えられています。

しかし、韋玄成が関内侯に降格された際に嘆きの詩を詠んだという逸話が示すように、爵位制度における最高位（列侯）と19位（関内侯）の間には、実利を超えた大きな差があったと考えられます。

後漢末の爵位制度の変更

後漢末期、曹操が漢朝の実権を掌握すると、爵位制度が変更されました。関内侯は4等級に細分化され、それぞれ名称も変更されました。高い順に、関内侯、名号侯、関中侯、関外侯という順位になりました。この変更は、建安20年（215年）10月に行われました。関外侯の下には爵位15等の五大夫が位置し、列侯から五大夫までが魏朝における官爵の6等級として定められました。

まとめ

関内侯は、漢王朝において重要な爵位の一つであり、その名称の由来や列侯との違い、後漢末の制度変更など、様々な側面から考察することができます。爵位制度は、単なる身分制度ではなく、政治や社会構造と深く結びついていたことが分かります。

参考文献

（後漢）班固著、（唐）顔師古注『漢書』巻19下百官公卿表下
（晋）司馬彪著、（梁）劉昭注『続漢書』（『後漢書』所収）百官志五

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