関口宏の“歴史は繰り返す”

関口宏の“歴史は繰り返す”

『関口宏の“歴史は繰り返す”』（せきぐちひろしの れきしはくりかえす）は、TBS系列で正月時期に年一回放送されていた教養番組です。この番組は、人類の歴史の中で見出される出来事や社会現象の「反復性」に着目し、過去の事例と現代社会で起きている事象との間に存在する類似性を深く掘り下げていくことを特徴としていました。まるで過去が現代の出来事を予告していたかのような「デジャブ」の感覚を提示し、歴史を単なる過ぎ去った出来事としてではなく、現代社会が抱える課題や未来の動向を読み解くための重要な手がかりとして捉えました。

番組が制作されたのは、少なくとも2003年から2008年にかけての期間です。毎年異なるテーマを設定し、そのテーマに関連する歴史上の出来事と現代の状況を比較分析することで、視聴者に新たな視点を提供しました。放送された各回のテーマは以下の通りです。

第1回（2003年元日）：アメリカとローマ帝国
過去の超大国ローマ帝国と現代のアメリカ合衆国を比較し、その盛衰や特徴から現代社会のあり方を考察しました。
第2回（2004年元日）：独裁者たち
歴史に名を刻む独裁者たちの共通点や行動様式を検証し、現代におけるリーダーシップや権力のあり方について考えさせられました。
第3回（2005年1月5日）：日米同盟
日本とアメリカの同盟関係に焦点を当て、歴史上の同盟の変遷やその力学から、現代の日米同盟の意義や未来の展望を探りました。
第4回（2006年1月4日）：圧勝
選挙や権力闘争などにおける「圧勝」という現象を歴史的な視点から分析し、その背景にある心理や社会構造に迫りました。
第5回（2007年1月4日）：権力の世襲 (北朝鮮の選択)
権力の継承、特に世襲制に焦点を当て、歴史上の事例と当時の北朝鮮情勢などを重ね合わせながら、その影響や課題を浮き彫りにしました。
第6回（2008年1月4日）：偽・格差・ワイロまで歴史の酷似を再発見！
現代社会で問題視される「偽装」「格差」「贈収賄」といったテーマについて、これらが歴史上でも繰り返されてきた現象であることを検証し、その根深さや本質を掘り下げました。

番組の進行は、長年にわたり多くの報道・情報番組で司会を務めてきた関口宏氏が担当しました。関口氏の安定した進行のもと、番組の核心である歴史と現代の比較分析が進められました。また、毎日新聞の論説委員である岸井成格氏がレギュラーコメンテーターとして出演し、専門的な知見から番組の議論に深みを与えました。

ゲストには、各回のテーマに合わせて様々な分野から有識者や著名人が招かれました。過去には、東ちづる氏、森本哲郎氏、岸惠子氏、姜尚中氏、髙田万由子氏、フランソワーズ・モレシャン氏、江川紹子氏、大竹まこと氏、蓮池透氏、東国原英夫氏、小池栄子氏などが登場し、それぞれの視点から歴史と現代について意見を述べ、議論を活性化させました。特に姜尚中氏や大竹まこと氏のように、複数回にわたってゲスト出演した識者もいます。

『関口宏の“歴史は繰り返す”』は、過去の出来事が単なる記録ではなく、現代社会を理解し、未来を予測するための重要な鏡であることを提示した番組でした。歴史の反復性という視点を通して、現代の社会問題や政治、文化といった様々な事象を相対化し、より深く洞察するための機会を視聴者に提供しました。毎年正月に放送されることで、年の始まりに歴史から現代を考え直すという、知的刺激に満ちた時間を提供したのです。

もう一度検索