関口現

関口 現

1968年2月10日に埼玉県で生まれた関口現（せきぐち げん）は、日本の映像表現の世界において、CMディレクターおよび映画監督として重要な足跡を残しています。東京大学文学部を卒業後、1990年に電通プロックス（現在の電通テック）に入社し、プロとしてのキャリアをスタートさせました。大学在学中から映画研究会で積極的に活動しており、映像制作への強い情熱はキャリアの初期段階から一貫していました。

電通入社以来、関口氏は主にCM制作の分野でその才能を開花させます。国内の広告賞を数多く受賞するなど、瞬く間にその実力は広く認められました。特に、WOWOWの企業広告として制作された「走る女」は、世界有数の広告祭であるカンヌ国際広告祭で銀賞に輝き、これを契機に彼の名は海外にも知られることとなり、国際的な評価を確立しました。その後、電通から独立し、自身の制作会社である「ラインバック」を設立。現在も、日本の広告界を牽引するクリエイターの一人として精力的に活動を続けています。

CMディレクターとして確固たる地位を築き上げた一方で、映画監督としても個性的な作品を発表しています。2004年には、俳優の浅野忠信、阿部寛、小泉今日子といった実力派キャストを迎えた長編映画『SURVIVE STYLE5+』で監督デビュー。この作品は、その斬新な視点とユニークな世界観が評価され、第9回釜山国際映画祭でPSB映画賞を受賞するなど、国内外で注目を集めました。2011年にはオムニバス形式の映画『サビ男サビ女』の一編「せびろやしき」を手掛けるなど、映画制作にも継続的に取り組んでいます。

関口氏の作品には、しばしば遊び心や独特のユーモアが散りばめられています。特に有名なのは、彼が熱狂的な阪神タイガースファンであることです。このタイガースへの愛は、作品の細部にまで反映されることがあり、例えば、監督作の中に「虎」や「タイガー」といった言葉を含む小道具や固有名詞を意識的に登場させることがあります。さらに、『サビ男サビ女』の「せびろやしき」においては、登場人物の名前を阪神タイガースに過去に所属した選手から取るなど、ファンならではの遊び心あふれる試みも行っています。

主な作品

関口氏がディレクションを手掛けたCMは枚挙にいとまがなく、そのどれもが強い印象を残すものばかりです。代表的な作品の一部を挙げます。

CM

アコム「むじんくん」シリーズ
JR東日本「やっぱ新幹線」
HOYA アイシティ「透明人間」篇
サントリー BOSS
WOWOW 企業広告「走る女」
キリン FIRE
NTTドコモ
富士通 FMV
森永製菓 ウイダーinゼリー（出演：木村拓哉）
東京ガス ガスパッチョシリーズ（出演：妻夫木聡）
ライフ ライフカード シリーズ（出演：オダギリジョー、古田新太ほか多数）
ハウス食品 六甲のおいしい水「藤川・矢野登場」篇（出演：藤川球児、矢野燿大）
TOYOTA ReBORNシリーズ
マクドナルド「マック、みっっけ。」シリーズ（出演：木村拓哉）
タクシーアプリGO（出演：竹野内豊ほか）

これらのCMは、彼の持つ多様な演出スタイルと、タレントの魅力を引き出す手腕を示すものです。特に、シリーズ化されたCMでは、長期にわたって視聴者の関心を引きつけるストーリーテリングやキャラクター造形が光ります。

映画

長編映画『SURVIVE STYLE5+』（2004年）
『サビ男サビ女』より「せびろやしき」（2011年）

Short Films & PMV

Smap Short Films「BUS☆PANIC!!!」
SUPERCAR 「BE」
POLYSICS 「BLACK OUT FALL OUT」

主な受賞歴

第39回 ACC CMフェスティバル 演出賞
第47回カンヌ国際広告祭銀賞（WOWOW「走る女」）
* 第9回釜山国際映画祭 PSB映画賞（『SURVIVE STYLE5+』）

関口現は、CMと映画という異なるフィールドで、一貫して独創的な視点と高い技術力を発揮し続けている、日本を代表する映像クリエイターです。彼の作品は、時にユーモラスに、時にスタイリッシュに、見る者の心を捉え、強い印象を残しています。

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