関城・大宝城の戦い

関城・大宝城の戦い

関城・大宝城の戦い（せきじょう・だいほうじょうのたたかい）は、南北朝時代に常陸国の筑波山西麓に位置した関城と大宝城を巡って繰り広げられた戦闘です。現在の茨城県筑西市と下妻市に該当するこの地域では、各地の武将たちが所領を巡って対立を繰り返していました。建武政権に従いながらも、常陸国や下総国の武将たちは互いに争いを続け、延元の乱を契機に北朝側と南朝側に分かれて激闘を繰り広げることになります。

北朝側には結城氏、小山氏、佐竹氏、大掾氏などが名を連ね、一方南朝側には小田氏、白河結城氏、関氏、下妻氏などが集まりました。延元2年（1337年）ごろからは、北朝の侵攻が強まり、後に関城と大宝城に篭ることになった関氏と下妻氏は、城の防衛を余儀なくされていきます。

翌年の9月、北朝の北畠親房の船が常陸国に漂着し、11月には小田氏の本拠である小田城に避難する事態となります。さらに、南朝側の勇将・春日顕国が小山氏と共に連携し、南朝側の勢力が強化される流れとなりました。

しかし、1341年になると、吉野から浄光が後村上天皇の命を受けて東方に向かい、“藤氏一揆”の計画が発表され、北畠親房の政治的な立場も不安定になります。これを利用した北朝の高師冬の活動も活発になり、同年11月には小田治久が北朝に寝返ることとなりました。これを受けて、北畠親房は急遽関城に、春日顕国は大宝城に逃げ込むことになります。

高師冬は両城への攻撃を開始しますが、当時の両城は大宝沼の南北に築かれた堅固な城でした。三方が水に囲まれていたため、攻撃しにくい状況にありました。高師冬は周囲の南朝勢力を攻略しつつ、両城を包囲し続け、北畠親房は白河結城氏の結城親朝に救援の要請を送ります。この要請文が『関城書』とされ、南朝側の希望を表しています。

しかし、北朝側は両城の水路を遮断することに成功し、南朝側の支援を期待していた結城親朝は、本領の白河荘が北朝に包囲され、孤立状態に陥ります。1343年8月、ついに結城親朝が北朝に離反し、11月11日には北朝による大規模な攻撃が行われます。そして翌日、関城と大宝城は相次いで陥落し、脱出に成功した者もいたものの、関宗祐、宗政親子、下妻政泰は討死を遂げる結果となりました。

この戦いは、南北朝時代の中での権力闘争の厳しさを象徴する出来事であり、その後も影響が及ぶ重要な戦役として位置付けられています。関城と大宝城の堅固な防衛は、当時の戦乱と武将たちの知恵や勇気の象徴であり、その歴史的意義は未だに語り継がれています。

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