関屋分水

関屋分水（せきやぶんすい）：信濃川の分水路

関屋分水は、新潟県新潟市を流れる信濃川の重要な分水路です。この分水路は、新潟市内を流れる信濃川から分流し、日本海に注ぐ約1.8kmのルートを持っています。関屋分水は1972年に通水を開始し、その設置の目的は主に洪水から新潟市を守ることです。特に1978年の信濃川下流域の大洪水や2004年の新潟・福島豪雨において、その治水機能が実証され、高い効果を発揮しました。

分水路の特徴と機能

関屋分水は河口から約10km上流の平島地区に起点を持ち、信濃川の流量を調整します。また、計画高水流量は毎秒3200立方メートルで、上流から流れ込む土砂を引き受けることによって、新潟西港への土砂堆積を防ぎ、海岸侵食を抑える役割も果たしています。

歴史的背景

関屋分水の建設計画は古く、江戸時代中期からあったとされています。幕末期には会津藩が日本海の湊を確保しようと動きましたが、新潟の湊の反対によって実現には至りませんでした。明治時代には信濃川の洪水対策として関屋掘割の建設が求められるようになり、1909年には坂井輪郷の排水を日本海へ流すための小さな堀が作られました。これ以降も増水による災害は続き、その都度新たな分水路の必要性が叫ばれてきました。

1941年、関屋分水計画が申請されましたが、太平洋戦争の影響で工事の承認には至りませんでした。戦後には、信濃川と新潟港を分ける案と内港施設拡充案が論争となり、多くの議論と調査が重ねられました。その結果、1950年代末に建設省が関屋分水の計画を支持し、1960年代には本格的な工事が始まりました。

建設の進展

関屋分水の工事が進む中で、信濃川水門が設けられ、日本海からの海水逆流を防ぐための新潟大堰も建設されました。掘削した土は新潟バイパスの盛土に再利用されています。1972年には分水路が完成し、その後の新潟市の宅地開発に大きく寄与しました。

地域への影響

分水路の完成により、新潟市の信濃川下流左岸地域は河川で分断された「島」として、『新潟島』と名付けられました。関屋分水は、中央区と西区の境界でもあり、地域の地名にも影響を与えています。特に、旧関屋競馬場は分水路工事で移転され、その跡地は近年の宅地開発などで大きく様変わりしています。昔の面影を残すものとして、関分公園や幾つかの名残が今も見られます。

まとめ

関屋分水は、ただの分水路ではなく、新潟市の洪水対策や土砂管理において重要な役割を果たしている施設です。また、その背景にある歴史や地域への影響も含め、地域社会にとって欠かせない存在となっています。

もう一度検索