新潟大堰

新潟大堰（にいがたおおぜき）

新潟大堰は、新潟県新潟市の関屋分水路の河口に位置する可動堰です。信濃川から分岐して日本海へ至る関屋分水路の最下流、日本海に面した河口部に建設されました。

概要

1971年に竣工した新潟大堰は、関屋分水路の開削に伴い、流量調整と海水の遡上防止を目的として建設されました。平常時には、新潟大堰を制御することで、信濃川からの流量（240～480立方メートル毎秒）のうち、関屋分水路へは30立方メートル毎秒のみを流下させ、海水の遡上を防止します。出水時には、信濃川水門を制御することで流量調整を行い、最大流量4200立方メートル毎秒のうち、3200立方メートル毎秒を関屋分水路に流下させ、信濃川本川の流量を抑え、新潟市中心部の洪水被害防止に貢献しています。

構造

新潟大堰は、鉄筋コンクリート構造で、堰柱6基、主ゲート5門、閘門、魚道、管理橋を備えています。主ゲートは幅41.2メートル×高さ6.4メートルの鋼製ローラーゲートで、閘門は主ゲート左岸側に、魚道が両岸に設置されています。左岸側には、田中角栄の揮毫による「新潟大堰」の銘板が取り付けられています。

設備の維持管理のため、上流側に設置されている管理橋は、新潟市道との兼用工作物となっており、市道西1-94号線の新潟大堰橋として一般開放されています。車道は左岸側からの一方通行路が1車線で、歩道は両側に設置されています。東詰側の道路へは左折のみ可能で、上流側にある浜浦橋方向へは右折できません。浜浦橋の東詰側から海岸方面へは通行できないため、新潟海岸バイパスから海岸方面へ通行するためにはこの橋を通行する必要があります。

周辺施設

新潟大堰の左岸は新潟市西区、右岸は中央区となっており、右岸側には国土交通省北陸地方整備局信濃川下流河川事務所、左岸側には信濃川下流河川事務所関屋出張所の庁舎があります。関屋出張所には、関屋分水資料館が設置されており、関屋分水路に関する資料を展示しています。また、関屋分水路の開削を記念して設置された関分記念公園が右岸側に整備されており、展望台から新潟大堰の全景を眺めることができます。

関屋分水通水50年を記念して、2022年7月31日から8月31日までの1ヶ月間、19時から22時までの時間帯で新潟大堰と信濃川水門がライトアップされました。

老朽化対策

新潟大堰は日本海に面しており、風浪に直接晒される過酷な環境にあるため、完成後40年以上が経過して老朽化が進行しています。河川管理機能を維持するため、補修が行われています。堰柱、上屋、管理橋などのコンクリート部分では、塩害およびアルカリ骨材反応による劣化が発生しています。かぶりの不足している庇部などでは中性化も影響しており、健全性診断で補修が必要とされています。ゲートは風浪による衝撃で戸当たり部が繰り返し破損しているほか、鋼製であるため定期的な塗装と腐食部の補強が必要となっています。

主な損傷事例

2000年12月4日: 2号ゲートが上流側へ大きく傾いていることが確認されました。調査の結果、2号ゲートでは戸当たりの金物が脱落、コンクリートが深さ最大30cmにわたって破損しており、他のゲートも戸当たりに損傷を受けていました。操作不能となった2号ゲートから順に、仮締切を設置して損傷箇所の復旧が行われました。
2008年度末: 管理橋の橋梁点検で、第4径間の主桁（G4）に大クラックが発見されました。詳細調査の結果、塩害によりPCケーブル2本が部分破断していることが判明しました。外ケーブルの追加による補強が実施されましたが、工事の段階で他の主桁（G1およびG2）のクラック、外ケーブル定着部の微細クラックも発見されたため、補強方法の再検討が必要となり、炭素繊維シートによる補強が追加されました。

今後の方針

維持管理計画策定にあたり、ライフサイクルコストの観点で3案（更新案、管理橋架け替え案、補修延命案）を比較した結果、現施設の残り寿命である60年後の時点では、初期費用の大きい更新案に対して、管理橋架け替え案および補修延命案がライフサイクルコストに優れるとされました。ただし、津波対策、ゲートの構造変更、補強の再劣化への対応などが検討されていないため、更に検討が必要であるとされています。

管理橋については、当初は補強を進める予定でしたが、同様の損傷が他の径間でも発生する可能性が高いことから、早期更新を図る方針への転換と、架け替えに向けた詳細設計が実施される予定です。

関連項目

関屋分水路

外部リンク

施設の紹介：関屋分水路：工事の内容 国土交通省北陸地方整備局 信濃川下流河川事務所

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