関東在方掛

関東在方掛について

関東在方掛（かんとうざいかたがかり）は、江戸幕府が慶応3年1月26日（1867年3月2日）から慶応4年2月24日（明治元年/1868年3月17日）までの短期間に設置した役職です。役高は2,000石で、勘定奉行並の待遇でした。

設置の背景

江戸幕府は、関東地方の支配を強化するため、従来の関東郡代に代わる役職として関東在方掛を設置しました。これは、幕府の権威をより強固なものとし、関東地方における支配力を高めることを目的としていました。

管轄地域と担当

関東在方掛は、相模国を除く関東地方を二つに分割し、それぞれが管轄地域を担当しました。

布佐陣屋（現在の千葉県我孫子市）常駐の担当：
常陸国
下総国
上総国
安房国
岩鼻陣屋（現在の群馬県高崎市）常駐の担当：
上野国
下野国
武蔵国
下野国足尾銅山

このように、関東地方を東西に分け、それぞれの地域を管轄することで、より効率的な支配体制を築こうとしたことがわかります。

職権の強化

関東在方掛の最大の特徴は、従来の関東郡代よりも職権が強化された点です。特に、旗本知行所に対しても、幕府直轄領とほぼ同等の権限を行使することが可能になりました。これにより、幕府の支配はより直接的かつ強力なものとなり、地域における幕府の影響力を強めることができました。

廃止

しかし、この役職は江戸幕府の解体という時代の流れの中で、その役割を終えることになります。幕府の崩壊に伴い、関東在方掛も廃止され、その短い歴史に幕を閉じました。

まとめ

関東在方掛は、幕末の動乱期において、江戸幕府が関東地方の支配を強化するために設置した重要な役職でした。その職権は強力であり、幕府の支配体制をより強固なものとしましたが、時代の変化には抗えず、短期間で廃止されました。

参考文献

* 高橋伸拓「関東在方掛」（『江戸幕府大事典』吉川弘文館、2009年） ISBN 978-4-642-01452-6

もう一度検索