関東戒厳司令部

関東戒厳司令部とは

関東戒厳司令部は、1923年（大正12年）の関東大震災発生後、東京およびその近郊における行政戒厳の施行に伴い、大日本帝国陸軍によって設置された臨時の司令部です。この司令部は、震災直後の混乱期における治安維持と秩序回復を目的として設立されました。

設立の背景

1923年9月1日に関東大震災が発生し、甚大な被害をもたらしました。この未曾有の災害に対応するため、政府は緊急勅令を発令し、戒厳令の一部を準用することを決定しました。これにより、同年9月3日には関東戒厳司令部条例（勅令第400号）が公布され、同日に関東戒厳司令部が設置されました。

組織と役割

司令官は陸軍大将から親補され、天皇に直属し、東京府とその付近の鎮戍警備にあたりました。司令官には、担当区域内の陸軍部隊を指揮する権限が付与され、軍政および人事に関しては陸軍大臣の指示を受けました。司令部は、参謀長、参謀、副官、主計、軍医、陸軍司法事務官、下士、判任文官によって構成されていました。

初代司令官：福田雅太郎

初代司令官には、軍事参議官の福田雅太郎大将が任命されました。福田司令官は、9月4日に自警団取り締まりの布告を各所に掲示し、治安維持に努めました。しかし、9月16日に甘粕事件が発生した責任を取り、9月20日に更迭されました。

二代目司令官：山梨半造

福田大将の後任には、同じく軍事参議官の山梨半造大将が任命されました。山梨大将は、混乱の収束と治安回復に尽力しました。

廃止と後継

戒厳令の一部準用が終了するのに伴い、1923年11月15日に勅令第480号が公布され、翌11月16日に関東戒厳司令部は廃止されました。首都警備の任務は、同日に設置された東京警備司令部に引き継がれました。

歴代司令官

関東戒厳司令官
福田雅太郎 大将：1923年9月3日 - 1923年9月20日
山梨半造 大将：1923年9月20日 - 1923年11月16日

参謀長
阿部信行 少将：1923年9月3日 - 1923年11月16日（兼任）

参考文献

三浦裕史『近代日本軍制概説』信山社、2003年。
外山操・森松俊夫編著『帝国陸軍編制総覧』芙蓉書房出版、1987年。
秦郁彦編『日本陸海軍総合事典』第2版、東京大学出版会、2005年。

関連項目

東京防禦総督部
東京衛戍総督部
* 東部軍管区 (日本軍)

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