関根組と堀井一家の抗争事件

関根組と堀井一家の抗争事件

関根組と堀井一家の抗争事件は、1939年（昭和14年）11月中旬に東京市の関根組（組長：関根賢）と神奈川県片瀬の堀井一家（総長：加藤伝太郎）の間で勃発した大規模な暴力団抗争事件です。

抗争の経緯

賭場でのトラブル

事件の発端は、桜木のエイ坊こと中畑英吉が関根組の賭場で多額の借金を背負ったことに始まります。借金の督促を受けた中畑は、熱海市で開かれる堀井一家と上家鉄三郎の合同賭場で返済すると約束しました。

新花家事件

熱海市銀座通りの旅館「新花家」で開かれた合同賭場に、関根組副組長の木津政雄らが現れ、中畑に返済を迫りました。しかし、堀井一家の横山新次郎がこれに割って入り、木津を殴打。事態を重く見た加藤伝太郎は賭博を中止し、客を帰しました。横山が日本刀を構え、木津を威嚇する一方で、木津は稲川角二に匕首を突きつけました。しかし、稲川は逆に木津の腕を折り、階段下に突き落としました。その後、関根組と堀井一家は互いに応援を呼び、一触即発の状態となりました。

報復の応酬

合同賭場での喧嘩から3日後、横山は関根組からの報復を警戒し、加藤宅を偽装して若衆を伏せさせました。一方、関根組も組員100人を熱海市内の旅館に集結させ、対立は激化の一途を辿りました。事態を憂慮した高木康太が仲裁に入るも失敗し、自ら指を詰める事態となりました。

関根暗殺計画

稲川角二は横山新次郎に関根賢の暗殺を進言し、横山もこれに同意。稲川は若衆2人を引き連れ、関根が頻繁に出入りする料亭を張り込みました。しかし、そこに現れたのは関根の実兄であり、襲撃は中止されました。

和解

武部申策と高木康太の尽力により、住吉一家の倉持直吉総長と銀座の生井一家の篠原縫殿之輔が仲裁に入り、手打ちの運びとなりました。芝浦の待合「松杉館」で、関根組と堀井一家の手打ち式が行われ、両組織の代表者が和解を誓い合いました。

事件の影響

関根組と堀井一家の抗争事件は、当時の社会に大きな衝撃を与え、暴力団抗争の激化を象徴する出来事となりました。この事件を契機に、警察の取締りが強化され、暴力団対策が進められることとなりました。

関係者

関根賢：関根組組長
加藤伝太郎：堀井一家総長
中畑英吉：桜木のエイ坊
木津政雄：関根組副組長
横山新次郎：堀井一家
稲川角二：堀井一家
倉持直吉：住吉一家総長
篠原縫殿之輔：銀座生井一家
藤田卯一郎：のちの松葉会会長

参考文献

大下英治『首領　昭和闇の支配者　三巻』大和書房＜だいわ書房＞、2006年、ISBN 978-4-479-30027-4

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