関西急行鉄道モ651形電車

関西急行鉄道モ651形電車：近鉄へと引き継がれた車両の歴史

関西急行鉄道モ651形電車は、近畿日本[[鉄道]]（近鉄）の前身である関西急行鉄道（関急）が、奈良線系統向けに製造した通勤形電車です。製造当初から近鉄に引き継がれ、数度の改番を経てモ660形へと姿を変え、最終的には事業用車としてその生涯を終えました。この車両の概要、車体、主要機器、改造、そしてその後の活躍について詳しく解説します。

概要

当初、モ600形モ608 - 612として製造される予定だったこの車両は、製造コスト削減のため、参宮急行電鉄のデニ2000形が名古屋線に転属した際に不要となった標準軌用台車と主電動機を再利用することになりました。これに、新製されたモ600形と同等の車体を組み合わせる設計変更が加えられ、1944年1月にモ651形モ651 - 655の5両が日本車輌製造で製造されました。

車体

モ651形は、モ600形と同様の15m級半鋼製車体を有し、片側2つの扉、両運転台、両貫通構造を備えていました。この設計は、当時の鉄道車両としては標準的なもので、乗客の乗り降りの利便性と、編成の柔軟性を考慮したものでした。

主要機器

主電動機は、前述の通りデニ2000形からの流用品である東洋電機製造製TDK-542-Aを4基搭載しています。制御器はモ600形と同じHLF、ブレーキはA動作弁を用いたA自動空気ブレーキを採用し、台車もデニ2000形から流用した住友製鋼所KS-31Lを装備していました。これらの機器構成は、当時の標準的な技術に基づいたもので、安定した走行性能を確保していました。

改番と改造

戦後、モ600形の増備が進み、車番が重複するようになったため、1950年にモ651形はモ450形モ451 - 455に改番されました。さらに1963年には、奈良電気[[鉄道]]（奈良電）が近鉄に合併されたことにより、奈良電が保有していたデハボ1000形がモ430形に改番されることになり、再び車番の重複が発生しました。そのため、モ450形はモ660形モ661 - 665に再度改番されました。

1964年には、モ200形の代替としてモ665が荷物電車に改造され、1965年にはモ661の主電動機がモ600形と同一のものに交換されました。また、台車も順次交換され、1969年5月時点ではモ661がKS-33E、モ662 - 665が96A-43BCを装備していました。

昇圧に伴う改造と改番

1969年に奈良線系統の架線電圧が600Vから1500Vに昇圧される際、モ665を除く全車が昇圧改造を受け、新400系・600系に再編されました。この際、電動車は三菱製のAB-194-15制御器に交換され、制御車ク500形になった2両は片運転台に改造されました。

モ660形モ662・663 → モ400形モ410・411
モ660形モ661・664 → ク500形ク516・518

運用と廃車

モ651形は、主に奈良線系統で使用され、戦後の1946年12月にはモ651とモ655が連合軍専用車に指定されました。その後、1969年の昇圧時に荷物電車となっていたモ665が廃車となり、玉川工場の入換車に転用されました。新400系・600系となった後は、400系が生駒線・田原本線で、600系が京都線・橿原線・天理線で主に使用されました。その後、600系となったク518が1972年に、ク516が1973年に廃車となり、400系となった2両も1976年に廃車されました。

一方、入換車として使用されたモ665は、車籍こそないものの残存し、1982年に五位堂研修車庫に移動しました。1990年にはブレーキのHSC化が行われ、橿原神宮前の台車振替場に移動し、1997年に解体されました。

モ651形は、その生涯において数多くの変遷を経験しましたが、関西急行鉄道、そして近畿日本[[鉄道]]の歴史を語る上で欠かせない存在です。その足跡は、今もなお鉄道ファンによって語り継がれています。

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