関西電力モ250形電気機関車

関西電力モ250形電気機関車

関西電力モ250形電気機関車は、1952年に関西電力によって導入された直流電気機関車であり、特に丸山ダム建設に伴う資材輸送のために設計されました。この車両は、関西電力が所有する私有機として登場し、2両が製造されましたが、その後名古屋鉄道に譲渡。名鉄ではデキ250形として活躍しました。1978年に正式に運用を終了するまで、さまざまな運用形態で使用されました。

導入の背景

この電気機関車の導入は、太平洋戦争中に工事が一時中断された丸山水力発電所の再建設を目的としたものです。1951年に専用鉄道の敷設工事が始まり、1952年にはモ250形251及び252が日立製作所で製造されました。これらの機関車は、電化工事の完了後、資材輸送に使用されることになっていました。

車体の特徴

モ250形は、全長10,850mmの凸形車体を持ち、中央に運転室、前後に機械室が配置されています。デザインはシンプルで、実用性を重視したものとなっています。運転室には側面窓と乗務員の扉があり、前面には広い窓があります。機械室は運転室から滑らかに傾斜しており、機器の冷却を考慮した通風システムや防雪板が装備されています。

機器の仕様

車両には日立製作所製の各種機器が搭載されており、制御装置は電空式の間接非自動制御器を使用しています。力行制御は、直列8段および並列7段による抵抗制御が行われ、電動機は4基が搭載され、1両あたり75 kWの出力を発生します。また、台車は釣り合い梁式構造を採用し、制動装置にはEL-14A自動空気ブレーキが使用されています。

運用の変遷

開通後、モ250形はダム建設の資材輸送に従事しましたが、専用鉄道の一部は非電化のままだったため、特定区間での運用が限定されました。1954年にダムが完成すると、2両は名古屋鉄道に譲渡され、デキ250形に改称されます。名鉄では、広見線や小牧線などさまざまな路線で使用され、後にデキ252は1,500 Vに昇圧改造されました。

最後の運命

名古屋鉄道での運用は徐々に減少し、デキ251は北恵那鉄道に貸与されましたが、実際の運用は極めて限られるものでした。デキ252は、1968年に故障を起こし、修復されることなく除籍される一方、デキ251は1978年に廃車されました。最終的に両車両ともに現存せず、歴史の中に姿を消しました。これにより関西電力モ250形の希少な存在は失われました。

このように、関西電力モ250形電気機関車は、ダム建設に寄与しただけでなく、名鉄での運用を通じて日本の鉄道史に名を刻むこととなったのです。

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