関西電力黒部専用鉄道

関西電力黒部専用鉄道

関西電力黒部専用鉄道（かんさいでんりょくくろべせんようてつどう）は、富山県の黒部川水系に位置し、関西電力が管理・運営する専用の鉄道路線です。この鉄道は黒部峡谷鉄道本線から分岐し、水力発電施設へのアクセスを担っています。そのうち、黒部峡谷鉄道の欅平駅から黒部川第四発電所前駅まで6.5 kmの区間は「上部軌道」と呼ばれ、他の部分と区別されています。上部軌道は黒部ルートの重要な一部として、主に地下トンネルを走行しており、地上区間は仙人谷駅のみに限られます。

この路線は、法的には異なる運営ルールが適用されており、特に色々な法令に基づいています。例えば、欅平駅から欅平下部駅までの区間は鉄道事業法に基づいており、その他の駅間は労働安全衛生法下で運営されています。

歴史

この鉄道は、1941年に黒部川第三発電所に関連した建設工事のために、工事資材の運搬を目的に開設されました。最初の駅である欅平駅から仙人谷駅までの区間が開通した後、1963年に黒部川第四発電所まで延伸されました。この開発プロジェクトは切り開かれたトンネルの掘削工事がメインで、様々な困難に直面しました。

特に1937年、工事が始まった当初から遭遇した最大の問題は、岩盤温度の上昇でした。最初は摂氏65℃だったのが、1年後には100℃を超え、最終的には166℃にまで達しました。これにより多くの作業員が熱中症に苦しむ事態になり、作業が危機に瀕しました。

さらに、1938年に発生したダイナマイトの自然発火事故では多くの死傷者が出ました。このような悲劇を受けても、工事は国の電源開発に必要不可欠だったことから続行されました。その後も、工事の困難さのため400人以上の命が失われ、犠牲者は黒部市宇奈月町内山に埋葬されました。

また、冬の雪崩による被害も深刻で、工事の進行を続ける為に宿泊施設が設置されましたが、1938年12月には泡雪崩が発生し、多くの作業員が命を落としました。これを境に厳重な雪崩対策が施されることとなりました。

運行

関西電力黒部専用鉄道では、蓄電池式の機関車を用い、小型の客車や無蓋貨車を運行しています。運行は蓄電池式に限定されており、ディーゼル機関車は高温隧道内での火災リスクを避けるため使用されていません。通年運行が可能であり、定期便も数本運行されています。

列車は仙人谷駅で地上に出た後、黒部川を越える鉄橋を渡ります。黒部川第四発電所前駅は、見学者用のアクセスも提供されており、地域観光にも寄与しています。

今後の展望

関西電力黒部専用鉄道は、現在一般開放に向けた準備が進められています。2024年からは、旅行商品として「黒部宇奈月キャニオンルート」として観光客の利用が可能になる予定ですが、2026年以降に延期の可能性もあります。これにより一般ユーザーもこの特異な路線を楽しむことができるようになります。

その他の情報

この鉄道は、特異な運行形態や歴史からくる多くの話題性があります。例えば、2002年の紅白歌合戦では関西電力黒部専用鉄道内での生中継が行われ、文化的な側面をも持っています。

このように関西電力黒部専用鉄道は、発電所へのアクセスだけでなく、その歴史の深さ、運行の特徴からも地域にとって重要なインフラとなっています。

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