闖関東

闖関東（チュァングヮンドン）

「闖関東」とは、中国語で「関東（山海関の東）へ進出する」という意味で、19世紀後半から20世紀前半にかけて、山東半島に住む漢民族を中心とした人々が遼東以北、現在の中国東北部へ大規模な民族移動を行った現象を指します。

歴史的背景

かつて「関東」あるいは「関外」と呼ばれた中国東北部は、長城以南に比べて開発が遅れていました。清朝は、満洲民族の故地である関外に乾隆5年（1740年）に封禁政策を実施し、漢民族の流入を制限していました。そのため、この地域はモンゴル族や満州族などの少数民族が多く住む、人口希薄な地域でした。

しかし、19世紀後半になると、ロシアがシベリアからオホーツク海へと進出し、その脅威に対応するため、清朝は政策を転換します。1860年に関外に派遣されていた特普欽将軍らが朝廷に開放策を献策し、関内からの移民を奨励しました。これにより、土地不足や生活困窮にあえぐ直隷（現在の河北省）や山東省の人々が、新たな生活を求めて関外へ移動し、荒地の開墾を始めました。

1931年の満洲事変までに、数百万規模の人々が関内から東北部へ移住したと言われています。

現代への意義

移民の多くは、山東半島の貧しい農民たちでした。彼らは、陸路で山海関を越えたり、または清国北洋艦隊が威海衛（現在の威海市）と旅順に軍港を設置して以降は、煙台 - 旅順間のフェリーを利用して海路で移動しました。

この大規模な移住は、中国東北部の社会や文化に大きな影響を与えました。例えば、遼寧省南部の大連市では、現在でも高齢者の多くが山東省出身者であり、大連の方言も山東省周辺で話される膠遼方言群に属しています。これは、闖関東によって山東省からの移民が多数大連に移住したことによるものです。

ドラマ化作品

闖関東をテーマにしたドラマも制作されています。

大連テレビ局が制作した連続テレビドラマ「闖関東」は、2008年1月から2月にかけて遼寧省・大連地区で放送されました。このドラマは、山東省で発生した旱魃により、ある一家がハルビンまで陸路で大移動する様子を描いたものです。その後、中国中央テレビ（CCTV）や他の地方局でも放送され、人気を博しました。また、関連作品として「闖関東中篇」も制作され、2009年8月に北京衛視と浙江衛視で放映されています。

参考項目

満洲
中国東北地方
山東半島
大連闖関東影視基地

外部リンク

移民の波「闖関東」に関する小研究（中国語）
中国中央テレビの連続テレビドラマ「:闖関東」（中国語）

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