阪急40形電車

阪急40形電車の歴史と特徴

阪急40形電車は、阪急電鉄の起源である阪神急行電鉄が1923年に製造した小型木造電車です。神戸線開業から数年後に投入され、近代的な電車の開発が進む中、重要な役割を果たしました。

1. 背景と開発の経緯

1921年、阪神急行電鉄が西宮北口駅から宝塚駅間に西寶線を開通させました。この路線の開通に伴い、初期は神戸線と同様の51形の電車が運用されていましたが、沿線の開発が進まなかったため乗客はあまり見込めず、より小型で効率的な車両の導入が求められました。その結果、すでに伊丹線向けに投入されていた37形電車を基に、40形が設計されました。

1923年10月、藤永田造船所で40形の電車5両（番号40 - 45、ただし44は欠番）が製造されました。38形と同系列の仕様を持ちながら、電装品には国産品が初めて使用されました。

2. 車両の特徴

車体と内装

40形電車は木造で、全長は約11.2メートルと37形よりもわずかに短くなっていますが、乗客定員は65名で同一です。側面窓や前面窓の配置は37形と似ており、曲線的なデザインが特徴です。また、屋根は二重屋根で、改善された通気用のベンチレーターが装備されています。

座席はロングシートが採用され、室内灯はシャンデリア型が使用されており、どこか優雅な雰囲気を醸し出しています。運転台との仕切りも工夫が施されています。

電装機器

主電動機には東洋電機製造のTDK-9Cを2基搭載し、直接制御方式の制御器も同社製のTDK-DB1-K4Cが搭載されています。この後、阪急の新型車両では再び輸入品に戻りましたが、40形は国産電装機器を用いた初期の例として記憶されています。

台車にはJ.G.Brill社製のBrill 76-E1が使われ、集電装置としてパンタグラフとトロリーポールの両方を装備。通常はパンタグラフを使用し、効率的な集電を行いました。

3. 運用とその後

40形は西宝線に配置され、51形との置き換えが期待されました。しかし、1926年に新たに今津線が開通すると、運用が縮小され、甲陽線や伊丹線を中心にシフトしていきました。
1927年からは主に簡易な運用に使われ、1931年に踏切事故で1両が全焼。その後も残る4両は能勢電気軌道に貸し出され、さらに近代化の波に流されることになります。

1948年には大事故を経て、再び能勢電気軌道で活躍し、車両不足を補う重要な役割を果たしました。1950年代には、近代的な車両への置き換えが進み、最終的に1961年に全車が廃車にされる運命を辿ります。

4. まとめ

阪急40形電車は、阪急電鉄の歴史において重要な車両の一つでした。前年の37形とともに、小型木造車体の電車として地域の交通を支え、後の近代化発展にも寄与しました。今や古き良き時代の象徴として、多くの鉄道ファンに親しまれています。

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