阪急47形電車

阪急47形電車について

阪急47形電車は、阪急電鉄の起源となる阪神急行電鉄時代に導入された歴史的な木造の電車です。この電車は、1920年に成田電気軌道から譲渡されたデハ1形を基にしています。元々は伊丹線の運用を目的として製造されましたが、その後の運用歴には興味深いエピソードがいくつかあります。

導入の背景

阪急電鉄が創立された当初、伊丹線の需要はそれほど高くはありませんでした。このため、小型の電車を採用し経済的に運用する方針が取られました。阪急47形電車は非常に珍しい存在で、北野線を除けば、阪急では唯一の手動ブレーキを持つ2軸の単車でした。整備の手間がかかる手動ブレーキの採用は、運用において結局不都合を招くことになりました。

車両の変更と譲渡

47形は成田電気軌道から譲渡された際に、4両が引き渡されましたが、その中の1両は電動貨車に改造されてしまったため、実際に竣工したのは3両となります。導入当初の運用は順調とはいかず、翌1921年にはより性能の良い37形に交替されて休車となりました。その後、48形と49形は1924年に門司築港電軌に譲渡され、同社の3・4号となりました。

車両改造と晩年

残された47形は1927年に大規模な改造が施され、併用軌道で使用するためのフェンダーが設置されました。この改造に伴い、車両番号も150に変更され、150形として北野線で運用されました。しかし、1933年になると、150形は34形の新型車両に完全に置き換えられ、これ以降は休車になりました。車体そのものは西宮車庫に転用され、1947年には他の車両の改造に使用されました。

現在の状況

現存する47形の実車は見ることができませんが、2020年には伊丹線と神戸線の開通100周年を記念して、当時の姿が描かれたヘッドマークが掲示されました。これにより、47形や51形の姿を想像する機会が再び訪れました。さらに、現在函館市に所属する「箱館ハイカラ號」30形は、47形の同型車であり、その姿は原形を忠実に再現しているため、歴史を知る上で貴重な資料とされています。

阪急47形電車は単なる歴史的遺物ではなく、阪急電鉄の発展を支えてきた一つのピースであり、過去の汽車運行のスタイルを垣間見える存在です。その姿を次世代へ伝えていくことは、鉄道ファンとしても大切にしたいことです。

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