阪神201形電車

阪神201形電車

阪神201形電車は、阪神電気鉄道がかつて保有していた路面電車車両です。主に併用軌道線（国道線・甲子園線・北大阪線）で運行されていました。

概要

201形は、輸送力増強と、当時残存していた木造車51・61形や121形「アミ電」の置き換えを目的として計画されました。当初は30両の新造が申請されましたが、資材統制の影響で15両のみが認可され、汽車製造で製造されました。戦時中の資材不足により、製造は遅延し、未電装のまま71形と連結して運行された時期もありました。戦後、残りの車両も竣工し、全15両が出揃いました。

計画段階では、残りの15両のうち5両は、車体長を短くし、半流線型の3枚窓を持つ車両として計画されましたが、実現には至りませんでした。

車両構造

車体は、71形とほぼ同型ですが、細部に違いが見られます。車体の丸みが71形よりも角ばっており、正面窓上が平面になっている点、前面窓と側面窓の下辺が揃えられている点、ベンチレーターの数が少ない点などが挙げられます。内装も簡素化され、座席下のヒーターが廃止されたり、袖仕切の形状が変更されたりしています。

台車は、阪神併用軌道線標準の汽車製造製ボールドウィン64-20R台車ですが、細部の設計が改良されています。主電動機は、71形と同じ出力ですが、ローラーベアリングからプレーンベアリングに変更されています。制御器は、自動加速方式油圧カム軸多段制御器から全電磁式のものに変更され、トムリンソン式密着連結器を装備していました。

運用と改造

戦後、未電装だった201形は電装化され、71形との連結運転は解消されましたが、201形同士の連結運転は継続されました。その後、残りの車両も竣工し、全車が揃いました。1950年までに、集電装置がポールからビューゲルに変更され、テールランプの位置が変更されました。連結器は、偶数番号車は大阪側、奇数番号車は神戸側に取り付けられました。また、1960年代以降は、行先方向幕を使用せずに行先表示板を使用するようになりました。

1962年からは、故障の多い制御器が、廃車となった車両から流用した油圧式のものに交換され、連結器も撤去されました。1960年代後半には、屋根の整備が行われ、ランボードが撤去されたり、ベンチレーターの向きが変更されたり、方向幕窓が埋められたりしました。

終焉と保存

201形は、1両も廃車されることなく、1975年5月5日の併用軌道線全廃まで使用されました。廃止後、215が甲子園阪神パークに保存されましたが、後に解体され、現存しません。また、民間の輸送会社に201と211が払い下げられたという記録がありますが、詳細は不明です。

阪神201形は、戦前から戦後にかけて活躍した路面電車であり、阪神の路面電車史を語る上で欠かせない存在です。

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