阪神5500系電車

阪神5500系電車

阪神5500系電車は、1995年に阪神電気鉄道が導入した通勤形電車です。主に各駅停車（普通）で運用されることから「ジェットカー」の愛称で親しまれています。

概要

5500系は、老朽化したジェットカーの置き換えを目的に計画されました。しかし、阪神・淡路大震災により多くの車両が被災し、その代替として当初の予定を前倒しして製造されることになりました。1995年11月に5501Fが、1996年1月に5503Fが営業運転を開始し、その後も増備が続けられ、2000年までに9編成36両が製造されました。普通系車両の中では5700系に次ぐ勢力となっています。

次世代の標準車両を目指し、VVVFインバータ制御やボルスタレス台車などの新機軸が採用されました。特にVVVFインバータ制御は、大手私鉄全社への普及のきっかけとなりました。

車両概説

車体

外観は8000系をベースにした普通鋼製で、19m級の3扉車です。側面窓は、一部を除き固定窓となっています。前面は8000系の額縁スタイルから一新され、ブラックフェイスにHゴムの窓というデザインになりました。外部塗色は、震災からの復興をイメージした「アレグロブルー」と「シルキーグレイ」のパステル調の新塗装が採用されました。

車内

車内はバケットタイプのロングシートが並び、電光式路線図と電光掲示板を一体化した車内案内表示装置や車椅子スペースが設置されています。また、ドア開閉時には開閉予告ブザーが鳴るようになっています。

運転台は、阪神初となる2ハンドル式のデスク型が採用されました。

機器類

台車は、阪神初のモノリンク式ボルスタレス台車である住友金属工業製のSS-144を採用しています。主電動機は東洋電機製造製のTDK-6145-Aを搭載し、駆動方式はTDカルダン方式です。制御装置は三菱電機製のVVVFインバータ制御を採用しています。

加減速度は従来のジェットカーから若干抑えられましたが、VVVFインバータ制御の採用により乗り心地が向上し、中高速域の加速性能も向上しています。ブレーキは、普通系車両では初めて電気指令式ブレーキが採用されました。

増備車

1997年には、貫通路が広幅化され、客用扉に複層ガラスが採用された増備車が登場しました。これは、直通特急運転開始に伴う普通車の運用増加に対応するためのものでした。

改造・リニューアル

2009年の阪神なんば線開業に伴い、先頭車の連結器が交換されました。また、車内案内表示装置の改造や、デッドマン装置の取り付けなども行われています。

2016年からは、導入から20年以上が経過した5500系を対象にリニューアル工事が開始されました。外観は「ラピスブルー」と「モダングレー」の新塗装に変更され、車内は半自動ドアやLCDディスプレイが設置されるなど、5700系に準じたものに обновлено. リニューアルされた車両は「リノベーション車両」と呼ばれています。

武庫川線への転用

本線の5700系の増備に伴い、一部の5500系は武庫川線に転用されました。武庫川線は2両編成で運用されるため、中間車に先頭車化改造が施され、ワンマン運転に対応した機器が取り付けられています。外観は野球をテーマにしたデザインに変更され、親しまれています。

運用

5500系は、阪神本線と阪神なんば線の普通で運用されています。武庫川線に転用された編成は、武庫川線内でのみ運用されています。

テレビ番組での登場

過去には、テレビ番組で「日本一速い電車」として紹介され、TOKIOとの競争企画が行われました。

5500系は、阪神電車の普通を支える主力車両として、これからも活躍を続けることでしょう。

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