阪神91形電車

阪神91形電車：戦後の阪神を支えた路面電車

阪神91形電車は、かつて阪神電気鉄道が保有していた路面電車車両です。主に併用軌道線（国道線・甲子園線・北大阪線）で活躍しました。

誕生の背景

1941年、阪神電鉄は51形電車5両を満州国の新京交通へ譲渡しました。91形は、その代車として1941年に3両が汽車製造に発注されました。しかし、戦時中の資材不足の影響で、竣工は戦後の1947年となりました。

車両構造

当初の計画では71形と同型で製造される予定でしたが、製造時期が201形の登場後となったため、設計が変更されました。主な変更点は以下の通りです。

車体の丸みが71形より角ばった形状になった。
正面窓上が71形の緩やかなカーブから平面になった。
前面窓と側面窓の下辺が揃えられた。
ベンチレーターが71形の10個から6個に減らされた。
座席下のヒーターが廃止されるなど、内装が簡略化された。

台車は阪神併用軌道線の標準であった汽車製造製ボールドウィン64-20Rを装備。モーターは71形の三菱電機MB-163MRではなく、31形と同じ芝浦SE-116Dを4基搭載しました。ただし、制御器は71形と同じ自動加速方式の油圧カム軸多段制御器である芝浦RPM-100を装備していました。91形は連結運転を想定していなかったため、連結器は装備されませんでした。

その後の改造

1950年までに、集電装置はポールのうち片方がビューゲルに取り替えられました。同時期にテールランプがエアインテークの上に移設され、ビューゲル集電が安定するにつれてポールは撤去されました。1957年には室内灯が60W×14本に変更されています。また、1960年代以降は行先方向幕を使用せず、行先表示板を使用するようになりました。

1960年代後半には屋根の整備が実施され、92・93号車の2両はランボードが撤去され、トルペード型ベンチレーターの向きが変更されました。その後、方向幕窓も埋められています。

終焉

91形は1975年5月5日の併用軌道線全廃まで、1両も廃車されることなく使用され、全車解体されました。

参考文献

朝日新聞社「日本の路面電車車両諸元表」『世界の鉄道 '64 昭和39年版』、朝日新聞社、1963年9月、ASIN B00H9YRQZM。
『鉄道ピクトリアル』1997年7月臨時増刊号 No.640 特集：阪神電気鉄道
『阪神電車形式集.3』 2000年 レイルロード
* 『車両発達史シリーズ 7 阪神電気鉄道』 2002年 関西鉄道研究会

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