阮福溙

阮福溙（グエン・フック・タイ、1649年 - 1691年）は、ベトナムの広南国（こうなんこく）の第3代国王です。廟号は英宗（えいそう）、諡号は孝義皇帝（こうぎこうてい）とされています。彼は、第2代国王である阮福瀕（グエン・フック・タン）の次男として生まれました。

1687年、父王である阮福瀕が亡くなると、阮福溙はその後を継いで国王に即位し、黄国公（Hoang Quốc Công）と称しました。彼の治世は、前王の時代から続いていた鄭氏（ていし）との軍事的な衝突がなかった平和な時代として知られています。内政においては、国内の安定に力を注ぎました。

また、外交面においては、周辺諸国との関係改善に努めました。特に、隣国である真臘（しんろう、現在のカンボジア）との関係を修復し、友好関係を築きました。これにより、広南国は安定した国際関係を維持することができました。さらに、西貢（さいごん、現在のホーチミン市）で発生した明朝を支持する華人による蜂起を鎮圧し、国内の秩序を回復しました。

阮福溙は、1691年2月7日に42歳でこの世を去り、長茂陵（Trường mậu Lăng）に埋葬されました。彼の死後、長男である阮福淍（グエン・フック・チュウ）が王位を継承しました。阮福淍の時代にも、広南国は安定した発展を続けました。

1803年、阮福溙の子孫である阮福映（グエン・フック・アイン）が阮朝（グエンちょう）を建国すると、阮福溙には英宗（Anh Tông）の廟号が追贈され、紹休纂業寛洪博厚温恵慈祥孝義皇帝（Thiệu Hư Toản Nghiệp Khoan Hồng Bác Hậu Ôn Huệ Từ Tường Hiếu Nghĩa Hoàng Đế）という長い諡号が贈られました。これは、彼の治世における功績と徳を称えたものであり、阮朝の繁栄の基礎を築いた人物として、後世に大きな影響を与えたことを示しています。

阮福溙の治世は、広南国にとって安定と平和の時代であり、その後の阮朝の建国へと繋がる重要な時期でした。彼は、内政と外交の両面で優れた手腕を発揮し、国家の発展に貢献しました。彼の功績は、阮朝の歴史においても高く評価されています。

もう一度検索