阮朝

阮朝（グエン朝）とは

阮朝は、1802年から1945年までベトナムを統治した王朝です。初代皇帝は[[嘉隆帝]]（ザーロン帝）で、都は順化（現在のフエ）に置かれました。阮朝は、19世紀後半にフランスの侵略を受け、最終的にはフランス領インドシナの一部として支配されることになります。1945年、ベトナムの独立運動の中で滅亡しました。

歴史

建国以前

阮朝の創始者である[[嘉隆帝]]は、広南阮氏の出身です。広南阮氏は、後黎朝時代に南部を支配していた勢力でした。当時、後黎朝は実質的に北の鄭氏と南の広南阮氏に分裂しており、両者は対立していました。1771年、西山（タイソン）で起こった乱により広南阮氏は滅亡。阮福映（後の[[嘉隆帝]]）はシャムに亡命し、再起を期しました。

建国

阮福映は、シャム王やフランス人宣教師ピニョーの支援を受け、西山朝を打倒し、1802年に阮朝を建国しました。都は順化に定められ、国号は当初「越南（ベトナム）」でしたが、後に「大南」と改称しました。阮朝は清に朝貢を行いましたが、国内では皇帝を称し、独自の元号を用いるなど、独立性を保っていました。

初期の政治体制と政情

阮朝は、当初は北圻と南圻に大幅な自治権を認めるなど、緩やかな集権化政策をとりました。阮朝は、自国を「中国」と称し、清と対等な関係を築こうとしました。また、周辺諸国を「属国」とみなし、自国が世界の中心であるという意識を持っていました。しかし、次第に中央集権化を進め、科挙制度や地方制度を整備しました。このような政策は、各地で反乱を招き、またシャムとの関係も悪化させました。

フランスとの抗争

19世紀に入ると、産業革命を背景にヨーロッパ諸国がアジアに進出するようになり、ベトナムにもフランスの圧力が増大しました。阮朝は、当初はフランス人を優遇していましたが、次第にキリスト教を弾圧するようになり、フランスとの関係を悪化させました。1858年、仏西連合軍が沱㶞（ダナン）を占領し、コーチシナ戦争が始まりました。

フランスは、南圻（コーチシナ）を占領し、1862年には第一次サイゴン条約を締結させました。この条約で、阮朝は南圻の一部をフランスに割譲し、多額の賠償金を支払うことを余儀なくされました。その後、フランスは南圻全域を支配下に置き、メコン川を利用した通商ルートを開発しようとしました。しかし、メコン川は航行に適していなかったため、フランスは紅河を利用した通商ルートに注目しました。

1873年、紅河でのフランス商人のトラブルをきっかけに、フランス軍が河内を占領しました。阮朝は清に救援を求めましたが、清仏戦争で敗北し、フランスの保護国となりました。1884年、第二次フエ条約が締結され、ベトナムは完全にフランスの支配下に入りました。

終焉

フランスの支配下で、阮朝は名目的な権限のみを与えられました。しかし、阮朝の遺臣たちは抵抗を続け、民族運動も盛んになりました。1945年、日本軍がフランス領インドシナを制圧すると、阮朝最後の皇帝である保大帝は独立を宣言しましたが、日本の敗戦後、ベトナム八月革命が起こり、阮朝は滅亡しました。

歴代皇帝

阮朝の皇帝は、即位時に元号を定め、その元号で呼ばれるのが一般的です。皇帝の諱は、明命帝が定めた「御製命名册」に基づいて定められました。

まとめ

阮朝は、ベトナムの歴史において重要な役割を果たした王朝です。阮朝は、ベトナムを統一し、その文化を花開かせましたが、フランスによる植民地化によって大きな転換期を迎えることになりました。阮朝の滅亡は、ベトナムの歴史における大きな転換点であり、その後のベトナムの歴史に大きな影響を与えました。

もう一度検索