防災基本計画

防災基本計画は、日本の防災政策の中核をなすもので、災害対策基本法第34条および第35条に基づき、中央防災会議によって策定される、我が国における防災に関する基本指針を示す計画です。この計画は、防災分野における最上位に位置づけられ、防災に関する総合的かつ長期的な視点での計画、中央防災会議が定める防災業務計画、そして地方公共団体が作成する地域防災計画の作成基準を提示します。

計画の内容は、災害予防、災害発生時の対応、そして災害からの復旧・復興といった、災害対策の全段階を網羅しており、行政機関のみならず、地域住民による自治防災についても詳細に記述されている点が特徴です。この計画を基に、指定行政機関（日本の各行政機関）および指定公共機関（国立研究開発法人、日本銀行、日本赤十字社、主要な電力会社、ガス会社、石油会社、NHK、NTT、JRグループ各社、高速道路会社、携帯電話会社、日本医師会など）は、それぞれの役割に応じた「防災業務計画」を作成します。また、地方公共団体は、この基本計画に準拠した「地域防災計画」を策定する義務があります。

主な内容

防災基本計画は、以下の主要な目標と内容を含んでいます。

防災体制の確立：災害発生時における迅速かつ効果的な対応を可能にするため、国、地方公共団体、住民が連携し、それぞれの責任を明確にした防災体制を構築します。
防災事業の促進：災害予防のためのインフラ整備や、防災教育、訓練などを推進し、災害に対する社会全体のレジリエンス（回復力）を高めます。
災害復興の迅速かつ適切な実現：被災者の生活再建を最優先に、迅速な復旧作業と、持続可能な復興を支援します。
防災に関する科学技術及び研究の振興：災害予測の精度向上や、効果的な防災技術の開発を促進し、防災対策の質を高めます。
防災業務計画及び地域防災計画において重点をおくべき事項についての基本的な方針：各機関が作成する防災計画が、より実効性のあるものとなるよう、具体的な方針を示します。

構成

防災基本計画は、災害の種類ごとに章が分かれており、それぞれの災害に対する対策が、時間的な順序に沿って記述されています。

災害予防：災害発生を未然に防ぐための対策、防災施設の整備、ハザードマップの作成、住民への防災教育など、平時からの備えについて記述します。
災害応急対策：災害発生直後に行うべき活動、避難誘導、救助活動、医療活動、物資の輸送など、被災者の命と安全を確保するための対策について記述します。
災害復旧・復興：被災地の早期復旧と、持続可能な復興を実現するための計画、住宅再建、インフラ復旧、産業復興など、中長期的な視点での対策について記述します。

計画では、国、地方公共団体、住民など、それぞれの主体が果たすべき責任を明確にし、各主体が実施すべき具体的な対策を提示しています。

対象となる災害

防災基本計画で対象となる災害は、以下の通りです。

自然災害

震災対策
風水害対策
火山災害対策
雪害対策

事故災害

海上災害対策
航空災害対策
鉄道災害対策
道路災害対策
原子力災害対策
危険物等災害対策
大規模な火事災害対策
林野火災対策

さらに、これらの災害に共通する対策についても記述があります。

関連項目

防災業務計画
地域防災計画
インシデント・コマンド・システム

外部リンク

防災基本計画 : 防災情報のページ - 内閣府

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